経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.1】
 
  磁石研究と溶断技術
 
株式会社 坂戸工作所
     坂戸社長に聞く
 
 第1回は轄竚ヒ工作所社長の坂戸誠一氏です。坂戸氏は亡父創業の同社を受け継ぎ、昭和55年に社長に就任し、現在は当所常議員、千葉鉄工業団地協同組合理事長、中小企業総合事業団評議員等の要職に就いています。同社の解体機械は国内だけでなく、ワールドワイドな活躍をしています。
 
‥‥‥御社の解体機械は、1989年11月のあのベルリンの壁を壊したので有名ですね。
坂戸 はい、弊社の解体機です。それから、大被害が発生した1995年1月の阪神淡路大震災の復旧工事でも使用していただきました。また、昨年9月にニューヨークで起きた世界貿易センタービルの大惨事の救助作業にも働いています。

工場の中国シフトと部品産業

‥‥‥ところで、中国を中心に製造業の海外移転が続々と行われ、その結果、国内産業には空洞化現象が起き、製造業の危機が叫ばれていますが、このことをどうお考えですか。

坂戸 確かに、中国は飛躍的な経済発展を成し遂げ、いまや「世界の工場」と称される程になっていることは、誰もが認めるこです。中国は外国資本導入に当たって、先ず積極的にアッセンブリー産業を呼び込みました。それに併せて、部品産業も中国に進出した訳です。アッセンブリー技術というのはノウハウの固まりです。先ずこれを手にしたことで、中国は急速に成長し始めたのだと思います。一般的な大量生産品の分野では、大量で安価な労働力を持つ中国の一人勝ちの時代がしばらく続くのではないでしょうか。
 しかし、成熟社会だからこその需要もいろいろとあるのではないかと考えます。それらはロットは小さいけれども、付加価値は高いものとなります。これらをいくつ手にすることができるかで、日本の製造業の将来が決まるのだと思いますし、だからこそ21世紀は中小企業の時代だと言われているんだと思います。

国の中小企業技術革新制度と磁石研究

‥‥‥さて、御社は一昨年、中小企業の技術開発を支援する国の「中小企業技術革新制度」に、認定されたとお伺いしました。日本版SBIRと呼ばれるこの制度に認定されるのは、大変な出来事だと思いますが、どういう研究なのですか。

坂戸 ありがとうございます。弊社の「磁石研究」が認定されたのです。この認定は第1段階でF/S段階(可能性研究調査)と呼ばれていますが、全国で182社が認定を受けました。
 そして、平成13年度に各認定企業の研究成果が再度審査され、42社がR/D段階(事業化の研究・開発)に進む認可をいただきました。千葉県は弊社を含め2社認可され、全国的にも優れた成績だと思っています。弊社の磁石研究は解体機に電磁石を装着させることで、より容易に解体作業ができるような製品の開発を目的としています。

‥‥‥中小企業技術革新制度には、補助金等様々な国の支援措置がありますね。
坂戸 そのように聞いています。新規産業の創出のために国が支援する制度であり、日本版SBIRと言われるように、アメリカで成功した制度を日本に持ち込んだようです。

干葉市産業振興財団の支援事業と溶断

‥‥‥話は変わりますが、御社は平成13年度に、(財)干葉市産業振興財団の「技術人材導入支援事業」を活用されていますね。

坂戸 財団の山田事務局次長や西山プロジェクトマネージャーに、お世話になっています。弊社の解体機械に使用する鋼は、スウェーデンから直接輸入しています。輸入した鋼材の大板を工場内で切って使用するのですが、この技術を溶断と言い、局部的に熱を加えて切る訳です。
 焼入れ、焼戻しされた鋼板ですから、熱影響を受け易い。その影響を最小限にすることが、とても重要なのです。その指導を西山さんに依頼しました。

‥‥‥具体的には、とういう作業なのですか。
坂戸 鋼材の大板を、水の中に漬けて切ります。熱源は水を電気分解した水素ガスを使用しています。この溶断方法で、鋼材が変質するのを最小限にできます。
 この技術導入により、自社使用分以上の量を生産できるようになり、スウェーデンスチール社と業務提携して、鋼材の小売部門の新規事業にも参入することになりました。
 最後になりましたが、(財)千葉県産業振興センターの支援事業も活用させてもらっています。人材の乏しい中小企業は、これらの支援・助成施策を積極的に活用すべきだと思います。

‥‥‥ありがとうございました。坂戸社長の益々のご活躍を期待しています。

 
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