経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.10】
 
 ”選別”という技術を通して、社会に貢献
 
株式会社 安西製作所
     安西社長に聞く
 
 物を選別、あるいは分離する機械を専門に研究、開発、製造して37年。現在では、国内最大級の選別機専門メーカーとして、国内はもとより中国・東南アジア・北米・ヨーロッパをはじめ世界に販路を拡大中。今回は"選別"を通して社会に貢献している株式会社安西製作所 代表取締役社長 安西賢一氏にお話を伺いました。
 
‥‥‥落花生の選別機開発がきっかけに
 私の父で創業者の安西一義(現 代表取締役会長)は、落花生の加工会社に勤務していましたが独立志向が強く、その後、昭和40年に同社を退社すると同時に機械工場の経営にとりかかりました。その頃、以前勤務していた落花生の加工会社をたまたま訪れた時、"機械工場を経営しているなら、割れてしまつた落花生を取り除く機械を追ってくれないか"と要請されました。
 当時、国内には米国製の選別機はありましたが、非常に高価だったので落花生の加工会社の多くは手作業に頼っていました。そこで、会長はさっそく落花生の選別機の開発にとりかかり製品化に成功しました。仕組みは比較的単純で風力を利用したものでありましたが、落花生の加工会社からは人手不足の解消につながると高い評価を得ました。
 こうして、農産物の選別という分野で、ビジネスチャンスを掴んだ会長は、それ以来"選別"というテーマをビジネステーマとして追究していくことを決意しました。
 その後、研究開発の担当者をスカウトするなどして新製品の開発を積極的にすすめ、現在では小豆や白米、種子、コーヒー等の農業関係。ポテトチップス、コーンスナック、米菓等の食品関係。鉱石、真珠といった工業関係などあらゆる分野での選別機の開発・製造・販売を行っております。
 このように、当社は、用途に合わせて様々な選別機の開発、製造をしており、中にはシェアが9割に達するものもあります。製品の納入先は、各地の農協や穀物商、食品メーカーなどです。
 今や、食品の安全性に対する消費者の視線はますます厳しさを増し、食品関連事業を営む企業にとっては、1つの事故が会社の致命傷にもなりかねないので、選別機を含めた各種検査装置の導入に対する需要は年々高まってきています。そうした追い風もあって当社の売上・業績も好調に推移しています。
 製造品目の構成割合は、9割以上が選別機であり、うち穀物の選別機が約70%、食品関係や工業関係向けの選別機が約30%です。国内における選別機の売上台数は、すでに10,000台を越えております。
 安西クループとして、活タ西製作所(製造)、活タ西総業(販売)、活タ西総合研究所(研究開発)、潟Aルソマック・エンジニアリンク(サービス・メンテナンス)があり、北海道支店のほか、海外には中国(上海)、台湾、韓国に営業所を配置して輸出にも力を注いでおります。従業員は現在100名おります。
 私は大学を卒業すると同時に当社に入社し、平成13年6月に社長に就任いたしました。

‥‥‥追随を許さない技術で独走、国内初の色彩選別機を開発
 しかしながら、お客様のニーズの多様化に伴い製品はますます複雑化してきております。昭和45年には国内で初めて"色彩選別機"を製品化しました。
 この色彩選別機は、穀物(米、小麦)や豆類(大豆、小豆)をカメラやセンサーで色を感知し、混入した異物を空気で打ち落とすという仕組みのものです。これには製品化するまでに開発から約4年かかりました。当初は選別できる対象は限られていましたが、その後、開発が進むにつれて、小豆、大豆、米と見極める対象が小さくなっても、不良品を確実に排除できるようになったのです。当時、英国製の色彩選別機は既に輸入されていましたが値段が高く、日本でも製造しているメーカーがあるにはありましたが、色の違いを認識する精度が低いのが実態でありました。
 現在、当社の国内における色彩選別機のシェアはメインである米業界で約40%あります。
 大きさや重さ、色の選別といった順に選別の種類も段階的に高度になっており、色の選別は今では画期的なものになっています。

‥‥‥中国、東南アジア向け輸出が拡大、今後はインドにも
 売上の推移をみると、平成12年度から13年度にかけて輸出の割合が急拡大し、全売上の約3割を占めるようになりましたが、今期14年度はさらに増えて4割を越える見通しです。
 特に5年前に開設した中国の上海事務所(従業員3名)で受注する米選別機の売上の伸びにはめざましいものがあります。
 海外では中国のほか、台湾、韓国、タイ、フィリピン、スリランカ、イタリア、ギリシャなどで販売が拡大しております。
 中国や東南アジアでは、国内で消費する穀物に関しては未だ選別するという需要は低いようですが、生活水準が高くなるにつれ、農業生産者は消費者からますます良品を求められるようになり、選別機の需要も増大してきています。特に、輸出向けの穀物商品となると良品で商品価値の高さが求められますので、選別機の引合も活発になってきています。
 東南アジア方面には米を主食とする国がまだたくさんあります。現代では、もう選別機にかけない米は売れず、精米された米をさらに色彩選別機にかける方法が一般的になりつつあります。
 このように、日本国内のみならず中国、東南アジアをはじめ海外でのビジネスチャンスは無限に開けています。
 今後は、インドにおける需要がかなり見込めますので、インド向けの輸出を強化していく方針です。

‥‥‥経営理念は、常に社会のニーズに合った製品を開発していくこと
 当社では、顧客の要望があればその要望に応えるために、積極的に開発に取り組み、製品化に努めてきました。
 顧客から、"販売用の米の中に、異物が入っていたら大変なことになるので、異物を除去するための機械はないだろうか"と相談を受けました。そこで開発したのが「スーパーチエツカーFMCシリーズ」です。この機械は、特殊カメラとセンサーを組み合わせた電子の目で、検査対象物のデータを片っ端から取り込んで照合して、白米の特徴と完全に一致しないものはすへて排除するという機械なのです。この機械は米の中の異物を排除する機械として今から3年前に初めて製品化しましたが、これは、現在、当社にしかありません。
 このように、当社での新製品の開発に当っては、すべてお客様が困っている問題を解決することから出発しております。
 昨年、商品化した特殊な選別機(小麦のアミロ量を見分ける機械)は、北海道のお客様からの相談を受けて開発が行われたもので、価格は1台が1億1,950万円で、作業効率は1時間に10トンを処理することができます。この選別機はアメリカの特許も取得できました。
 このように選別機が必要とされる理由には、生活レベルの向上を図るためと、除去したものをリサイクルするための目的があります。食せず捨てることになる不良品をさらに選り分けて再利用することができるのです。
 きれいに選別された原料や製品は商品価値を高めると同時に、人々の生活の快適さや豊さに繋がって行きます。
 当社が色彩選別機の製造を開始した昭和45年当時は、ライバルは1〜2社しかありませんでしたが、現在では、同業メーカーは日本だけで10社、世界では200社ほどに増え、競争が激化しているのも事実です。中国でも当社のコピー製品が国内製として売り出されていますので、性能的にも常に他社に先行して行かなければなりませんし、需要家のニーズにあった最適な製品を短時間で開発していかなければなりません。
 私ども安西グループは、選別機のトップメーカーとしての自覚のもと、長年培った"選別"という技術を通して、社会に貢献してまいります。そして、世の中にまだ存在していないものを先駆して造りだして行くこと。それが当社の経営理念でもあります。

 
 前のページに戻る
  Copyright (c) 1998 Chiba Chamber of Commerce & Industry. All rights reserved.