経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.21】
 
 生ゴミ減容機は異業種交流事業から生まれた
 
破砕して、減容して、循環させるリサイクル
 
株式会社 アルカディア・トレーディング
     碓井社長に聞く
 
 ゴミ問題がもたらす環境への負荷は、21世紀を迎えた今も、まだまだ各業界において課題が山積みです。そんな中、生ゴミから堆肥へのリサイクルに革新的な切り札となりえるゴミ減容機が誕生しました。その製造・販売を手がける株式会社アルカディア・トレーディングの碓井社長にお話をうかがいました。
 
‥‥‥アルカデイアという会社について教えて下さい。
 もともと、知的障害者の子供たちの福祉作業所として、平成2年に設立された缶とビンのリサイクル業者の親会社が倒産しかけていたのをきっかけに、私が社長に就任したのが平成5年です。その頃、私はアルカディアを経営しながら参議院で議院秘書をやっていたんですが、障害者の子供たちの働く場所が失われ、彼らに行き場がなくなると聞き、何とかしなければと、学生時代の友人の出資を得て経営に乗り出しました。それまでは廃棄物処理にも福祉にも全く関係のない仕事をしていました。アルカディアは28年前に設立した広告代理会社とデザインスタジオで、全国のキヨスクにトマトジュースを卸す商社でもありました。

‥‥‥ゴミ減容機を扱い始めたきっかけは?
 リサイクル会社の社長に就任した時に、商工会議所の異業種交流会に入ったんです。それが破砕圧縮型生ゴミ減容機・クリンランドと出会うきっかけでした。その交流会で、98年に韓国へ研修旅行に行ったんです。欠席するはずが、急病の方の代理を頼まれ、しぶしぶ出かけました(笑)。干葉と姉妹会議所のインチヨンの異業種交流会との親善の席で、クリンランドを製造しているK社長と出会ったんです。ぜひ自分の会社を見に来てくれと言われましたが、あなたは製造業で私は流通業、関係ないから嫌だと断りました(笑)。これからは製造だけでなく流通も握った方が商売としてはいいんじやない、と話して私は帰国しましたが、しばらくして韓国から電話がきたんです。K社長が日本への海外留学生に選ばれて、ゴミ処理について勉強するから、私のところで引き受けてくれと。結局K社長は半年、当社で研修しました。同じ頃、たまたま私の知り合いで「日本の土壌は痩せているから堆肥を作り、それを循環させたい」という人がいたんです。私も好奇心が強いので、その現場を見に行きました。給食センターから出る残飯を集め、水を切って3ケ月間汚泥と混ぜておくと発酵し、堆肥になる。それを見てひらめいたのが、初期型クリンランドでした。残飯をそのまま発酵させるより、破砕して水分を切ってから堆肥を作れば…と、さっそく韓国から1台取り寄せると、堆肥づくりの専門家が「これなら2ケ月くらいで発酵させられる」と言うので、ビジネスとしてやってみてもいいかな、と思ったのが始まりです。

‥‥‥グリンランドはどんな仕組みの機械なのですか?
 ゴミを破砕し、水分や空気を抜いて、例えばパイナップルで約60%の減容・減量ができます。市の焼却場は重さで計算されますから、企業がゴミ処理にかけるコストを下げられる。生ゴミ処理機で、これだけ大幅に減らせる機械はなかなかないんです。もっとも貝やカボチャなど空気や水分があまりない素材はそれほど減りません。でもダブルトルネード方式の採用で、ものすごい強度がありますから、割箸・竹箸なども問題ありません。むしろいろいろ混ざっていた方がよく機能します。大きさもコンパクトで場所も取りませんし、電源もコンセントを差し込むだけ。あとは水道があれば、設置するのに工事費はかかりません。
 ただ韓国製の初期型クリンランドにはいくつか欠陥があったので、日本で作って、改良したものを当社で売ることになりました。

‥‥‥改良については苦労されたそうですが?
 ある漬け物屋さんで、大量の漬け物を廃棄する際、破砕して水分を切れば処理費用も安くなるだろうとテストしてみたら、機械の中で詰まって排出できなくなった。繊維質のものを単品で入れたのが原因でした。逆にいろいろ混ざっているホテルや外食産業の残飯は全く問題ない。しかし商業ベースに乗せるには、これはいいけどあれは駄目なんて言えません。その時点で仕入れた初期型の在庫は大分ありましたが、販売停止しました。やっぱり売る以上、絶対的な自信のあるものしか売りたくなかったんです。
 それから2年かけて試作品をいくつも作り、改良を重ねて、昨年10月に今のクリンランドが完成しました。改良に対しては、干葉の業者にお願いして、改良品を地元で開発できたことで、干葉市産業振興財団の特許支援対象に選んでいただきました。商品の価格が高くなっても、使う立場になれば国産の確かさには代えられませんね。
 試作機の製作で大変なのは、テスト用食材にかかる費用でした。そこで干葉青果市場のご協力でゴミを分けてもらい、おかげで改良が進んだんです。同様に、魚のあらも骨も全部破砕できますから魚市場でもいいんです。飼料にする魚あらは脂が多く、お湯で洗わないといけないんですが、クリンランドにはお湯に対応できるシヤワーリング機能(オプション)があるので、洗うより脂がよく落ちますよ。

‥‥‥クリンランドの実力のほどは?
 以前、クリンランドを納品したユーザー様は、5〜600万円する生ゴミ処理機を使っていて、1日50キロ処理が限界なのに、繁忙期は生ゴミが150キロ出てしまう。だからって2台、3台と購入する予算も、置くスペースもない。そこで前処理用にクリンランドを使ってもらい、100キロのゴミを20キロに減容すれば、50キロ用の処理機でも十分対応できるんです。
 00年5月には食品循環リサイクル法が制定され、各企業で年間に排出するゴミが基準以上になると様々な制約が課されることになりました。06年からの施工までに、様々な形で営業を展開できると考えています。食品関係以外では、農業関係にも需要があります。農家は出荷した作物の廃棄部分を堆肥にするため、破砕する機械と乾燥させる機械を使うそうですが、クリンランドひとつあればいい堆肥ができる。韓国ではクリンランドを鶏舎や豚舎に置いて、野菜などを細かくして飼料にしているとか。千葉は畜産王国ですし、時代が求める無農薬・減農薬や有機栽培にも活用できる。生ゴミから堆肥へのリサイクルの流れを変える切り札になればと考えています。ゴミ収集車の排出ガスだけを考えても、ゴミの量が減り、収集回数が減らせればCO2も削減できて、環境の負荷も減らせますね。

‥‥‥今後の課題は どんな点ですか?
 問題は価格面。1台930万円で、ひとケタ違うんじゃないかとよく言われますが、実際に稼ぎ出すものを考えて下さい。1時間に1トンを処理し、どんどん利益を生むんです。ただ小さな会社なので在庫を抱えられず、今は受注後2ケ月以内、1台ごとのオーダー生産なので、どうしてもコストが高くなりますが、量産できれば価格ももっと下げられます。名も無い会社の名も無い製品ではなかなか信用してもらえないし、大手メーカーさんの名前をつけた方が売りやすいんですが、韓国との特許契約上、どうしても製作に関する特許を他に譲ることができません。あくまでもアルカディア製で頑張るしかないですね。
 韓国からの総輸入販売代理店からスタートし、特許権を譲り受けて、素材を選ばずに破砕・減容できるよう改良を重ね、現在は製造・販売・メンテナンスまで行ないます。購入後1年は機械的な故障なら完全保証しますし、使い方を過って故障した場合は部品代の実責で修理します。だからメンテには自信がありますよ。ちなみに3〜4年前に納品した初期型クリンランドも、故障知らずだそうですが。

‥‥‥人脈の広さがご商売に活きているようですが?
 思ってもみなかったところから人の“縁”が生まれ、そこからビジネスチャンスが広がっていく。韓国に行ったのも、K社長との出会いも偶然でした。まさかこういった機械製造に携わるとは、夢にも(笑)。東京出身の私が、こうして干葉で仕事をするなんて思いもしなかったし、初めて千葉に来た時はむしろショックでしたよ(笑)。
 生きて行くって、“人”のおかげだと実感しています。自分の力なんてたかが知れていますが、助けてくれる周りがいたから何とかやってこれました。自分だけ儲かればいいんじゃなくて、お互いに還元しあって、お互いが良くなっていけばいい。私はビジネスのターニンクポイントでは必ず、お友達にも仕事相手にも恵まれました。ここまで来られたのも“人”の力。人脈は財産、引出しですね。
 私は26才からずっと社長業です。雇ってくれる人もいないし(笑)、「この人なら」という上司にも巡り合えなかったから、起業家しかなかったわけですが、社長をやるのに才能なんていりません。大切なのは周りの人間だけ。人脈だって、もともとあるものではなく自分で作っていくもの。自分で、出会うこと。だからって無理して人に合わせてきたわけじやないですよ。何でもハッキリものを言うから、昔は「ケツまくりの碓井」って呼ばれてました(笑)。

‥‥‥若いビジネスマンに、アドバイスをいただけますか?
 今はこの仕事をしている。そこから全然違う業種に移ったとして、最初にやってた仕事はもう関係ないと思ったら大間違いで、人生、何がどう関わってくるかわからないし、自分が歩んで来たところのお客さんは大事に引出しにしまっておいて、何年たってもそれが引っ張りだせるような人間関係を作っておくと長生きできますよ。女性だって自立していれば、自由に生きられるんです。一番悲しいのは、いい年して引出しが全くない人間なんです。一期一会、人との出会いは大切にするぺきです。それをしておくと、年を取ってから転職・転業したって辛い思いもせず、引出しを開けてやっていくことができるんですよ。

 
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