経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.25】
 
 花のホテルは、全方位のお客様のために
 
”コミュニティホテル”として、地元活性化にかける
 
株式会社千葉京成ホテル
     磯部社長に聞く
 
 平成14年9月、オープンした「京成ホテル ミラマーレ」は、シネマコンプレックス、ショッピング&グルメゾーンを併せもつ複合ビル「ミラマーレ」の中心的存在。
 千葉中央駅周辺を彩り、咲き誇る花のようなホテルをめざす、磯部社長にお話をうかがいました。
 
‥‥‥2003年度バリアフリー化推進功労者として表彰されたそうですが?
 この受賞は、本当に予想外でした。内閣総理大臣賞なんて大それた賞をいただけるとは夢にも思わなかったんです。これはミラマーレ以前、京成ホテルグループ全体で取り組んでいたもので、実際に当ホテルを利用された体の不自由な方や高齢者団体からの要望を生かしコストを抑えて、スタッフが手作りで工夫を凝らした改修を、地道に進めたことが 評価されました。不要品を活用したり、DIY的な補修を加えたり…そのノウハウを結集させ設備を一からバリアフリー化したのがミラマーレです。一例を上げると、ロビーのカウンターは通常の高さの部分と、車椅子にかけたまま利用できる高さの部分を設けました。また、体の不自由な方専用の客室も用意しています。ソフト面では食事など、食べやすく刻んだメニューや糖尿病患者向けにカロリー計算したメニューなどで細かな部分に対応しています。客室の数がこの規模ならではの、きめ細かい目配りですね。いずれも、健康な方と差をつけてしまうのではなく、ちょっとした部分にさりげない心遣いを、気付かないで当たり前に利用していただけるようにと配慮しています。
 何事にも、予算が無尽蔵にかけられるわけでもありませんし、何か大々的なことをやるよりも、バリエーションの中で、細かい合わせ技で取り組んでいるんです。

‥‥‥"合わせ技"には他に、どんなものがありますか?
 まず「花のホテル」と銘打っていること。京成グループには、バラ園で培った園芸のノウハウがあります。それを活かしてホテル内には造花を使わず、ひとつひとつ生花を飾っています。生の花はメンテナンスも大変で経費もかかりますが、続けていくつもりです。千葉市も「花の都」の街づくりを進めていますし、花が嫌いな人はいませんからね。宴会場にはそれぞれ花の名前がついています。
当ホテルの名前を冠した「ミラマーレ ローズ」は、世界で何千種というバラの中で、京成バラ園オリジナルの花です。1輪1輪、天候や光の当たり加減で変化の度合いは違いますが、開花の過程でピンクからオレンジへ、全く違う花のように色が変わって行く珍しい花ですよ。
花のホテルという着想は、私の中では、パリで花のホテルと呼ばれる「ジョルジュ・サンク」という小さな高級ホテルのイメージとダブりますね。1泊5万円もかかるような、それでも1年前から予約がいっぱいの素晴らしいホテルで、ここも一切造花を使わず、生花だけを飾るんです。
 それは贅沢なことかもしれませんが、ホテルは違う時間を演出し、夢を売る場所ですから。


‥‥‥●他に、ミラマーレのテーマにしているものはありますか?
 もうひとつ、イベントを打ち出していくこと。特に音楽に重点を置いています。毎週木、金、土曜日の17時30分から1階・ロビーラウンジ「ミレフォリア」にて開催中の「トワイライトコンサート」では、コンサートフィーは無料で生演奏を楽しんでいただいています。
 現在、クラシックを中心とした様々なジャンルから、50組以上のプロアマ・ミュージシャンに日替わりでご登場いただいています。そのために足を運ばれる地元のお客様も大勢いらっしゃいますし、文化的なグレードの高いイベントとして好評のようですね。他にもコーヒーセミナーや、花のノウハウを活かしたフラワーアレンジメント教室など、月に1度は必ず何かのイベントを開催しています。歌や舞踊のショー、BAYFMの公開放送…次々に人が集まるような企画を出していますが、それも一過性ではリピートは望めません。連打、連発し続けるのみ、です。

‥‥‥どういったお客様のご利用が多いのですか?
 ホテル経営には宿泊、宴会、婚礼、食事といったいくつかの柱があります。宿泊はこの地域外のお客様がメインです。他所から来ていただくためには、特化したサービスが必要ですから、現在、従業員のマナーを向上させ、お客様にリピートしていただこうと「ベストマナー向上運動」を展開中です。またJTBが国内のホテル・旅館の中からお客様のアンケートで、一定の基準を満たした宿泊施設を紹介する「JTBセレクト3000」の中で、Aグレードホテルに認定されています。お客様アンケートという生の声で、食事は何点、宿泊は何点、値段に比べてサービスはどうか、という部分まで細かく採点されます。降格もありますし、高得点を維持するのは大変ですよ。
 同様に、東京ディズニーリゾートのグットネイバーホテルにも加入しています。うちは浦安から近いとは言えませんが、立地的に 宿泊料が抑えられるので、稼働率も高い。"遠い"ことを除けば、非常に評判はいいですね。ただ、夏休みなどディズニーのお客様が増える時も、ビジネスの宿泊需要はありますから、そのバランスを取るのは難しいところです。
 宴会・婚礼は地元のお客様、食事は熟年の女性と言われますが、実際にはターゲットは絞れません。東京のように人がたくさん集まる場所は、年代や階層を絞って特化させられますが、このエリアではある意味、万人向けが求められる。その上で特色を持たせていくわけですが、例えば近年、結婚式は親が決めるケースが減り、若いカップルがターゲットです。とはいえ、うちのフロントを入るとビジネス向きの落ち着いた内装で、華やかさはありません。そのぶん式場スペースそのものは若者向きに作り、応対するスタッフも若い方に合わせて工夫しています。汎用施設でありながら、それぞれにご満足していただくには、常に全方位を向いていなければならない。しかもその全方位に、それぞれ特色を出さなければダメなんですね。

‥‥‥千葉中央駅周辺は、大型店の閉店、空き店舗などが問題になっていますが?
 この地域は地価の下落や、人の流れの減少など、私くらいの世代の方は皆、ある種のノスタルジアを感じているんです。若い方はご存じないでしょうが、かつてここが千葉の中心街だった。その郷愁が街に残っている間に、全盛期の華やかさを取り戻さないといけません。これまでこのエリアにはそういう求心力のある建物は無かった。しかし、ただホテルを作るだけではダメで、何かプラスαのオリジナリティを持ち、地域的な発展を考えていかなければ。千葉中央が沿線の看板駅として期待されるように、当ホテルが求心力となることを目指したいですね。映画館と言えば「京成ローザ」、そんな華やかな時代を知る世代が残っているうちに、その余韻が完全に消えてしまう前に、何とかもう一度巻き返したい。今はまだ、若い世代が増えているという実感はありませんからね。
 かのウィルマーの言葉に「そこに山があるからだ」とありますが、「そこにミラマーレがあるからだ」と言われるようになりたいですね。それにはただ「ホテル」があるからではなく、それに附随した、他と違う魅力がいくつもなければダメです。バリアフリー化も、そのひとつに過ぎません。私はミラマーレのオープンと同時にホテル業界に飛び込み、まだたったの3年です。このホテルひとつが盛り上がっても仕方ありません。この地域全体を活性化しないと意味がない。ジャスコやセントラルプラザが生まれ変わっても、目玉が1つや2つでは足りないんです。次々に何発も、打ち出し続けていくべきだと考えています。
 
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