経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.26】
 
 美味安全。食べ物の本来あるべき姿を提供したい
 
       より新鮮に、自然に、昔ながらに…              
 
                千葉の産直をお届けする
株式会社千葉産直サービス
     冨田社長に聞く
 
 地場(千葉県)の安全でおいしい産物・原料をもとに商品開発をすすめ、広く消費者に 届けることをモットーにこだわり続ける「株式会社千葉県産直サービス」。自然食品に情熱を傾ける冨田社長にお話をうかがいました。
 
‥‥‥創業当時のことをお聞かせ下さい。
 もともと私は食べものとは全く無縁の会社で、システムエンジニアをしていました。それがある日、肉屋で普通に買ってきた肉を食べたら、ひどい発疹が出て腫れ上がってしまった。もともとアレルギー体質ではありましたが、1週間も仕事を休むほど悪化しました。当時、ニコチン酸アミノという発色剤で、古い肉を新しく見せようと、鮮やかな赤色にして売られていました。食べものというのは、そんなやり方じゃいけない、と強く感じました。ならば自分が安全な食べものを世に出そうと、それがスタートでした。
 まずは仲間と一緒に東京で、北海道の置戸町の牛肉を産地直送で販売し始めました。毎日一頭ずつ東京で解体して、新鮮な肉を普及させたかった。肉が新しければ添加物なんていりません。ほどなく私は千葉で、冷凍車での販売を始めました。冷凍車は当時、うちが千葉県で第1号でしたね。

‥‥‥移動販売というシステムが成功につながったのですか?
 毎日、冷凍車で団地を回り、私が団地の真ん中で自分で"演説"して売ったんです。「皆さん!私たちは !! 」とか言って(笑)。店舗もないから、ずっと車で回っていたんですが、やがて問題発生です。夏が来て、1日中開け閉めするうちに冷凍庫内の温度が上がってしまった。肉がみんな真っ黒に傷んで、毎日穴を掘っては埋めるばかりでした。資本金はたった500万円、それが1年で1000万円の赤字。その後、2年ぐらい続きました。
 産直って一体何なんだ、これが産直の壁なのかと、悩みましたね。野菜なら畑から掘って、はいどうぞと買ってもらうのが産直だけど、肉の場合はちょっと違います。製品になるまでにいろんな手順があるわけで、これでは自分たちもフツーの精肉店のルートとさほど変わらないではないかと、行き詰まったこともありました。
 しかし産直の定義である原料がハッキリしていることや、安全であるというベースは決して譲りたくありませんでしたから、それを守りながら何とか続けてきました。もう売り上げがどうとかいう感覚じゃないんですよね。どんな立派な人でも、食べものが悪いと生きていけません。人間にとって一番基礎的な、食べものについて安全なもの・地場のもの・国産のものを扱っていこうと考えて、いつのまにか30年たってしまいました。

‥‥‥●御社のこだわりとはどんなものですか?
 まずは生産地・生産者が見えること。より新鮮な原料確保のため首都圏近県の産地・漁港を選択し、食のルートの明確化に努め、「安心で美味しいものを」という意識を持った生産者にご協力いただいています。
 次に素材の厳選。自然の恵みを受けた旨味の濃い最高ランクの素材を使用し、ノンGMO(遺伝子組換作物)で生産されたものにこだわって、環境を視野に入れた包装・包材も前向きに採用しています。
 そして、こだわり調味料。増量剤・添加物等は徹底して使用せず、旨味調味料も自然発酵法にて生産されたもののみを使用。MCP(塩素系化合物、発ガン性がある)が発生する加水分解法のものは使いません。昔ながらの天然醸造製法の調味料を厳選しています。
 最後に、熟練したプロの製法。昔ながらの無添加製法へのこだわりから、素材の旨味を演出するための原料・製法を選んでいます。それらを活かすべく、それぞれの道に熟知された方々が渾身こめて生産された商品を扱っています。

‥‥‥販売のみならず、商品開発も手掛けているそうですね。
 肉加工品には相場があって、値段が上がった時に一番損をするのは、生産者と消費者の間にいる加工業者です。商品そのものの値段は上げられないので、どうやって損失を埋めるかというと、脂の量を増やすんです。彼らも利益を上げなければならないので、やるしかない。かなり知名度のある、良識あるはずの業者ですらそうなんです。でもそれを責めることはできない。ならば加工も自分たちでやらないとダメだと考えました。28年前、小さな加工場を借りて設備を入れ、その頃からお客様もずいぶん増えたので、ようやく注文制を取り入れました。生協のように注文書を作って販売することで、お客様が離れることも心配しましたが、お陰様で皆さんついて来て下さいましたね。
 同様にして、飼料づくりにも取り組んでいます。鶏に食べさせるノン遺伝子組み換え飼料の開発に携わり、販売を開始しました。肉のためにはまずエサから、という発想です。家畜のエサというより、最終的に人間の食べるものを作っている、ということを再認識するべきと考えます。

‥‥‥これまでに好評だった商品はどんなものですか?
 うちも商品の幅がかなり広がってきました。ベースは畜産で、鶏、豚、和牛、本鴨などで、千葉は海に囲まれていますから、海産物も多く扱うようになりました。銚子で捕れた脂の乗ったイワシが、飼料として安くさばかれていると聞き、行ってみて浜で食べてみたらとにかく旨かった!でもそれが築地の市場をまわって千葉に来る頃にはもうおいしくなくなっている。それを「とろイワシ」と名付け、おいしいうちに缶詰にして売っています。他にも鮭や 鯖など、とろシリーズは大好評ですね。その中には外国産原料を使ったものもありますが、おいしくて安全だと確認できていればそれでいいと考えています。魚の骨の随まで、栄養のあるおいしい部分を丸ごと食べてほしいですね。

‥‥‥いいものが世に出づらいのは、何故なのでしょう?
 行政にも問題がありますね。利益をたくさんあげて、税金をたくさん納めてくれる会社を、世の中は優遇するんです。うちのように、いい原料を使った会社はあがりが少ないから税務署には評価されないんですよ。
 食べものに関しては特区を設けるべきです。原料のレベルを上げる場合は税率を引き下げる。原料を下げる人たちには税率を上げるとかね。そんなシステムでも作らない限り、日本の食は良くなりません。だからみんな、平気で安く輸入した悪い材料をどんどん使って、パッケージに適当なことを書いて売っている。でも、本物を食べればすぐにわかります。本当においしいですから。私どもも一生懸命やっているんですが、何しろ法律が守ってくれない(笑)。
 やはり政府や行政の協力がないと、やっていけません。

‥‥‥現代人の食生活は、どうなっていくのでしょう?
 日本人の栄養っていうのは、朝、味噌汁を飲んで、その味噌とだしと具、ここから始まるのに、だしは化学調味料をパッパッパーじゃ、ロクなことない。例えば顆粒のだしの素を毎日食べていると、知らず知らずのうちに乳糖を取り過ぎてしまいます。するとアレルギー体質の人は反応してしまう。肉や魚なんか、飼料にそういう余分なものが含まれていますから、食物連鎖の頂点にいる人間の体に凝縮されて残ってしまう。いつのまにか体の免疫力が落ち、医者に行っても原因不明…結局、食べもの屋さんが、よくよく勉強してくれないと大変なことになるわけですが、誰も責任を取ってはくれません。だから消費者の方も勉強する必要がありますね。
 私たちは、長い歴史の中で日本人がやってきた通り、元に戻しましょうよと言っているだけ。ライフスタイルから変えていく必要がある。私たちはそのための商品づくりを進めているんです。それが時代のニーズとして当たり前になっていくのが理想ですね。まともなものを食べていれば、サプリメントなんかに頼らなくても健康になれますよ。
 
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