経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.28】
 
 新しい時代を迎えた、千葉の酒販業界を担う
 
       千葉産のお酒で、地域に貢献し続ける              
 
千葉県酒類販売株式会社
     山田社長に聞く
 
平成の世を迎え、酒販業界は大きく変貌を遂げています。デフレ経済、価格破壊、多様化し続ける消費者のニーズ、アルコールに起因する様々な社会問題…それらを踏まえた上で、『千産千消』を実践する山田社長にお話をうかがいました。
 
‥‥‥お酒にまつわる多様な商品を扱われているそうですが?
 従来より酒類・食品総合卸として、幅広い商品を扱っていて、清酒、ビール、国産洋酒、輸入洋酒、合成清酒・みりん、焼酎、清涼飲料、コーヒー・お茶など嗜好品、調味料、おつまみなど加工食品、食用油など年間取扱いアイテムは膨大で、お酒だけでも約2〜3万点に上ります。ギフトなどのカタログ販売、千葉県特産品などのネット販売も行なっていますが、扱う商品は年々増えていきますね。お客様のニーズは多様化する一方ですし、常にそれに応えていかなければなりません。

‥‥‥社長に就任された経緯を教えて下さい。
私が社長になってからは7期目が過ぎました。学校を卒業して以来、ずっとこの会社でお世話になっています。
戦時中、お酒は配給でしか手に入りませんでした。その時に出来た組織が、統制が外れた後に協同組合組織になりそれを株式会社にしたのが昭和28年。千葉県内の醸造元(生産者)と小売りとが共同出資して設立した会社です。昨年ちょうど50周年で、初代〜3代目までは社長も醸造元出身者でした。4代目からは社内生え抜きの人間が選ばれ、5代目が私です。学生時代から酒を飲むのは好きでしたね。酒販会社に入ったのも、ごく自然なことでした。昔も今も、酒は何でも飲みますよ。特に好きなのは日本酒ですね。

‥‥‥近年の酒販業界の動向はいかがですか?
 平成2年から酒販価格が自由化され、激しい価格競争が始まりました。さらに一昨年の9月には酒販免許の基準がほぼ無くなり、スーパーやコンビニエンスストアなどの組織的な小売業が参入し、ディスカウント店が増え、家族で経営するような小さな酒屋さんは廃業の危機にあります。
 しかし買える店が増えて価格が下がっても、発泡酒やチューハイなどは売れていますが、清酒は最盛期から見ると半減、ウイスキーも20年前の1/4ほどしか売れません。ビールですら、発泡酒の影響で半減に近いですよ。
 お酒の商品数が増え、バラエティ豊かになって、選択肢は幅広くなりました。お酒の規制緩和とデフレ経済の時期が重なって、人気は安い商品へとどんどんシフトしたのです。ウイスキーの代わりに焼酎が出るようになって、今は九州の焼酎がブームですね。近頃は"和"のブームに見られるような日本の伝統文化の見直し、本物嗜好の高まりや、健康によい点、そして様々なものに混ぜて多様な飲み方ができる点で、若い女性を中心に人気です。ある意味、価格の安さや量の多さよりも質を求める"こだわり派"も増えているんですね。高度成長、大量生産よりも、本当にいいものを選びたいという時代になってきたのでしょうか。

‥‥‥業界としての問題点はありますか?
 行き過ぎた価格競争で、業界全体の疲弊とともに、社会問題になっているのが未成年者の飲酒と、飲酒運転。飲酒運転に関しては、罰則が厳しくなって以来、減少傾向にありますが、未成年者の飲酒については我々業界を上げて取り組むべきと考えています。一昨年から、私も未成年飲酒防止キャンペーンに毎年参加し、JR千葉駅前で地元高校生たちや堂本知事と共に市民の皆さんに訴えかけています。
 近年は販売形態がバラエティに富み、未成年者が手に取りやすくなったばかりか、ジュースよりも安く売っていて、子どもでも簡単に買えてしまう。売る側・生産する側として、ただ安くしてどんどん利益を上げればいいというものではありません。やはりアルコール飲料を扱う以上、それだけの社会的責任がかかってきます。昔から『百薬の長』と言われる反面、扱い方、楽しみ方を間違えると取りかえしのつかないことになるのがお酒です。これに危機感を持ちつつ、未成年の飲酒がいかに弊害があるかという認識を社会全体でしっかりと持っていかなければなりませんね。

‥‥‥地域色を出した商品開発に力を入れているそうですが?
 経済が成熟し高度化すると、人は地域性のある商品を求めるようになるそうですね。消費者の方も、地域の特性がよくあらわれた商品を求めています。
 「千葉のめぐ実」シリーズ「梨のお酒」「梨のスパークリングワイン」は、千葉県の推奨する「千産千消」をコンセプトに、JA全農千葉と県内各農協の協力を得て千葉県の梨を原料に開発され、平成14年に発売しました。この売り上げ金の一部は財団法人千葉県環境財団「ちば環境再生基金」に寄付させていただき、千葉の自然保護のために役立ててもらっています。梨は船橋市・白井市・市川市のものを使用しました。他にもメロン(銚子市)やレモン(丸山町・千倉町)のお酒も作りました。果物はもうひと通り作りましたね。
 もともと当社は「地域に根ざした営業活動を展開し、地域社会の繁栄に貢献する」という経営理念を掲げてきました。1本につき5円や10円の小さな金額ではありますが、堂本知事からは「消費者が1本1本買うことで、それが環境保護に繋がるのは素晴らしいこと」とエールをいただいています。地元で採れたものを使い、地元の環境保全のために還元していく。これこそが、理念を遂行したことになるのではないか、と考えています。

‥‥‥千葉のお酒の活躍ぶりはいかがですか?
 大多喜の農協では筍のワインを作って、話題を呼んでいるようですね。うちで開発した千葉のお酒は、酒屋さんはもちろん、飲食店などからの問い合わせも多いんですよ。
 千葉の飲み屋さんで、千葉のおいしい料理と千葉のお酒を合わせて楽しんでいただきたくのは、最高だと思います。
 昨年、新発売した1日限りの純米酒「今朝しぼり」は、酒蔵でその日の朝一番、午前2時から作業を始めて、搾りたての新米新酒を、無ろ過・生のまま瓶詰めし、数量予約限定でその日のうちにご自宅に宅配便でお届けしたんです。
 これは画期的な試みでした。昨年は11月20日に皆様のお手元に届き、大好評をいただきました。ワインのボジョレーヌーボーが毎年、風物詩として浸透していますから、日本酒のボジョレーとして定着してくれればと思っています。
 ちなみに、商品開発の現場で活躍しているのは女性が中心です。パッケージやネーミングも、女性のセンスを活かしたものがすでにたくさん世に出ているんです。これからはやはり、女性の時代ですね。何しろ、お店に買いに行って商品を選ぶのは女性ですから。当然、女性をターゲットにした商品もたくさん作らなければいけませんね。

‥‥‥千葉のお酒が、全国に拡がっていくことはあるでしょうか?
  地域ブランドというものは近年、全国的に盛り上がっていますよね。千葉限定、千葉産というものに価値があり、千葉でしか味わえない商品はもちろん、中には「千産全消(千葉で作り、全国で販売する)」の商品もあるんです。
 おすすめはいろいろありますが、落花生焼酎「ぼっち」はぜひ飲んでみて下さい。米とともに八街産落花生を丹念に仕込み、やや低温の減圧蒸留法で、香りよく軽快な味わいの焼酎にしました。落花生を使った焼酎は全国でも珍しく、風味があって何とも言えないおいしさです。落花生は、全農さんのご協力で千葉のものだけを使用。全国各地の卸などと提携し、全国ブランドとして扱っていただいています。各種マスコミにもずいぶん取り上げていただきました。
 今は、各県、各地域それぞれで、地域性を出し、いろいろ工夫したものを競い合うように作り出してきています。一村一品運動というのもありましたけども、千葉には一品どころかたくさんの自然の恵みがあり、それを加工して世に出すのも、まだまだ始まったばかり、これからですね。
 
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