経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.32】
 
 千葉発・全国区のベンチャー企業
 
       「アイデアを形に・・・業界のパイオニアとして」              
 
京葉システム株式会社
     片岡社長に聞く
 
千葉の地で30年。IDカードによる時間管理端末機や磁気カードを使用した電子タイムレコーダの開発など、時代に先駆けたソフトウエア・ハードウエアを作りだしてきた京葉システム株式会社の片岡社長に、アイデア誕生の秘話をうかがいました。
 
‥‥‥今年、創業30周年とうかがいました。おめでとうございます。
 5月15日で30周年です。振り返ると、30年でこの程度なのかという思いと、よくもここまでやってこられたという喜び、そしてピンチの時も、社員はじめ大勢の良きパートナーに恵まれて乗り越えられたことへの感謝とともに、自分はツキに恵まれてきたと実感しています。小さな会社ですが、お客様は全国区です。IDカードによる就業管理システム開発のパイオニアとして、大手自動車、電機、製薬などのメーカー、百貨店、スーパー、生協、病院などをユーザーとしています。今では銀行のキャッシュカードなどで当たり前に使われているIDカードですが、開発当初はなかなか認めてもらえず、苦労したのをよく覚えています。


‥‥‥現在の業種を選ばれたきっかけはどんなものでしたか?
 私自身が携わってきた仕事の中で、コンピューターの将来性に計り知れないものを感じたことですね。ソフトウエアを作る上で、その製作過程は小説を書くことに似ています。創意と思考を凝らすことが存分に出来るので、次第に「自由にやれる面白い仕事」だと思うようになりました。その後、自社製品(商品)を持ちたいと考えるようになります。形の無いソフトに形をつけること、それは一つのソフトをたくさんのお客様に使っていただけるよう汎用化することです。これが今で言う「パッケージソフト」。これを時代に先駆けて開発してきました。
 一方で形の有る製品(ハードウエア)では、就業管理用のIDカードによる時間管理端末装置を開発しました。現在、社員採用の際には「新製品開発のコアとなる優秀な人材を採用して、面白おかしく仕事ができて、適正な利益が確保できる会社にしたい」とうたっています。


‥‥‥最近開発した商品には、どんなものがありますか?
 当社は出退勤、給与計算、人事情報等の人に関する商品に特化しておりまして、仕事の目標・成果制度に対する人事考課システム「ストラ」、個人情報保護法対応の非接触ICカードによる入退出セキュリティ装置、そして、私が勝手に"3種の神器"と称しております、音声発生装置「センスコール」、おしゃべり通報装置「センシティ」、バーコードによる巡回点検システム「見巡りくん」があります。
 なかでも「センスコール」は万能で、これはマイクロコンピュータにセンサーなど各種の周辺機器を接続してソフトウエアでコントロールできる、別名「おしゃべりロボット」。吹き替え自由で、セリフや音声を録音でき、センサーなどからの入力と内蔵タイマーによって、幅広く細かな時間設定で、タイムリーに音声を発声して、広範囲の用途に活用できます。事業所用としては、人が近ずくとしゃべって音声でアシストし、不審者は威嚇して防犯用に、また一般住宅でも防犯から高齢者支援まで広範囲の用途に活用可能です。


‥‥‥商品開発には社長自らアイデアを出されているそうですが?
 全社員に、年末年始の休暇中に閃いたアイデアの提案をお願いしていますし、アイデアを出した社員には、図書券をプレゼントしています。しかし中小企業の商品開発の源は、経営者自身の発想、アイデアに尽きますね。自社製品を持ちたいなら、経営者はいつどこで何をしていても、常にアイデアだけは念頭において行動するもの。散歩中でも車の中でも、風呂でも寝床でも、思いついたらすぐにメモるんです。家内いわく「記録魔」で「メモ魔」。胸ポケットの手帳に何でも書き込み、普段から携帯用マイクも持ち歩いて、思いついたら何でもその場で吹き込んでいます。
 私は日記を会社用と自分用の両方を毎日欠かさずつけています。良いことは頭にしまい込み、嫌なことは日記に書くことによって胸の中から消え、整理がつき、次に進めるんです。だからこそ新しいアイデアが湧く。ワープロのキーではダメ。自分の手で書けば絵や図解もパッと入れられ、その時の気分も字に残ります。広告の裏紙に書いた紙切れのメモも、箱に何杯もたまっているんですよ。そのアイデアを、次々と商品化して形に変えてくれるブレーン(社員の人達)に恵まれたことにも感謝しています。彼らが私に自由に仕事をさせてくれているようなものですね。


‥‥‥フレックス制度の導入は非常に早かったようですが?
 創業数年で、昭和50年代にフレックスタイム制度を取り入れ、さらに平成に入ってからはフレックスデー制を採用し、週休2日を自由な曜日で取れるようにして時短を行ないました。これが労働基準局から認められて「ゆとり創造賞」をいただきました。もともと社員はコンピューターに向かって独りで作業をすることが多く、例えば小旅行に行くのにも休日よりも平日の方が料金は安く、時間も有効に使うことができるというわけです。
 7〜8年前からは社員の服装もフレックスウエアにしました。サラリーマンとして普通にスーツを着て過ごすのも、考えてみればお金がかかるわけですよ。だったら、パジャマやサンダルでなければ、自由な服装で良いということになりました。


‥‥‥社員教育はどのように行なっているのですか?
 まずは自己改革。良く気がついて、気が利いて、気配りができるように。この3つの「気」をバランス良く磨くこと。職業人としての技術と人間性を同時に養えるよう、研修を行なっています。もうひとつは人脈の大切さ。何をやろうとも人との繋がりは大切です。退職して行く社員には「たとえ短い間でも、この会社でおつき合いした人脈は、これからの人生に活かして欲しい」と言っています。時には人間関係がうまく行かずに別れることもありますが、それは時が解決してくれるもの。時というのは全てを水に流してくれて、その時は「このやろー!」と思っても、また日記に書けばスッキリして、今度会う時はまた笑顔で背中叩いて「元気だった?」と言えるようになる。それがわかる人間になってほしいと願っています。


‥‥‥●コンピューターを扱う業種ならではの取り組みはありますか?
 社員には、例えどんなに短い話でも、たった一言の挨拶でも、きちんと考えて整理してから話すようにと言っています。コンピューターの仕事をする人達は、概して人と話すのが苦手で、社員同士のコミュニケーションも難しい。努めて、社員同士が一緒に食事をしたり、定期的にみんなの前で話をさせる機会を作っています。どんなテーマでも、話すために準備をし、調べものをして人の前に立つわけで、それだけ様々なことを勉強できますし、人前で話すことに慣れて大きな声が出せるようになるんです。
 また、社員編成が若い男性に偏りがちな業種だからこそ、熟年のパートさんたちの存在がとても大きいですね。同じ年代の人ばかり集まるのは良くない。ちょっと年の離れた、お母さんのような年代の女性がいるだけで、彼らも注意されたことを素直に聞けるし、年相応の常識を教えてもらえたりする。孤独な作業で、自分の中に閉じこもりがちな若者には、いい刺激になっているようです。

‥‥‥●今後の展望はどんなものなのでしょうか?
 ITの可能性は無限です。これまでに培ったノウハウと、今後誕生する新しい技術を取り入れて、既存客にリピーターとして長くつきあっていただける"オンリーワン製品"、世の中のニーズにフィットした製品と、それらを活用したビジネスモデルを開発し、さらに多くのユーザーに使っていただけるようにしたいですね。
 私はまるでヤギが紙を食べるように、日々書き記したメモを食べては、バクのように夢を食べて生きています。それが元気の秘訣なんですよ。

 

 

 
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