経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.36】
 
 合い言葉は「快適なメガネをいつまでも」
 
     
  「眼鏡を通じてマイナスからゼロ、さらにゼロからプラスへ」
      
 
           
 
株式会社千葉メガネ
     阿部早苗会長・阿部博志社長に聞く
 
 創業46年、千葉の街で「半医半商」と言われる眼鏡店として歩んできた株式会社千葉メガネ。見えない(マイナス)から見える(ゼロ)へ、そこからさらに楽しい(プラス)へと転じる眼鏡を提供してきた創業者・阿部早苗会長と2代目である阿部博志社長の2人にお話をうかがいました。
 
‥‥‥●創業当時の様子を聞かせて下さい。
会長/もともと親戚で眼鏡店を経営している者がおりましたが、私がひとりで創業したのが29才の時。昭和34年です。どこで店を出そうかと、靴を2足も駄目にして歩き回ったのを覚えています。当時は船橋にと考えたこともありましたが、あの頃の船橋はまだ淋しい場所でした。眼鏡店で生計を立てようとすると、周辺人口約5万人は必要と言われますから、やはり県庁所在地の千葉を選びました。当時としては人の流れもずいぶんありました。メインストリートだった中央に店を構えて46年経ちましたが、時代の移り変わりとともに眼鏡店は急増し、商売の仕方もずいぶん変わりました。




‥‥‥●人材育成には特に力を入れているそうですが?
会長/社員は全員、国の認可を受けた東京眼鏡専門学校、つまり認定眼鏡士を育成する専門学校で3年間勉強した卒業生です。我々は技術を売る商売ですから、お客様に接するのは全員、有資格者。昔から眼鏡屋は「半医半商」と言われ、医学的な知識と商人としての能力、その両方を求められる仕事なんですね。視力をチェックし、商品を加工し、お客様の容貌やファッションなどに合う眼鏡を選ぶ。購入していただいた後はメンテナンスを承る。これが一連の仕事の流れです。

社長/眼にはいろんな機能があって、一般的な視力の他に視野の広さや動体視力などもその一つです。お客様の体調や使用目的を考慮することでその人により合った、かけていて楽な眼鏡になるんですね。専門学校を卒業した新入社員がお店に出てお客様と接し、実践を積み1人前になるには1年はかかります。適切な視力測定、使用目的やライフスタイルに合ったレンズ選定、フレーム選び、フィッティング調整など、覚えることは非常に多いです。今も手作業の部分がある技術者であり、ファッションアイテムの販売者であり、また眼の健康についてのアドバイザーでなくてはなりません。
 最近ではどんどん素材が進化し、新しい技術を駆使した商品が増えています。それらの作り手たちが、どういう情熱を持って製品を世に出しているのか、私たち小売りの人間はエンドユーザーに伝えなければいけません。今年は社員たちがレンズとフレームの工場で研修するツアーを予定しています。そこで何かを掴んできて欲しいですね。


‥‥‥●眼鏡イコール高価な商品、という先入観を持ってしまいますが・・・。
社長/眼鏡の価格には、メンテナンス料も含まれているんです。メガネは、使用しているうちにフレームが歪んだり、ネジが弛んできたりします。自動車などと同じように、眼鏡の場合も定期的にお手入れやメンテナンスをしていれば、きっと長く使えますから、半年に1度くらいお店に来ていただき、私どもに見せてもらえれば、もちが全然変わってきます。メンテナンスは全て無料です。快適な視力、そしてセンスのいい、その人に似合う「形」を提供するといったような眼に見えない付加価値、形には残らない、もの以外の部分に金額がかかっているのです。見え方は同じでも、掛け具合等の快適さに違いが出て来ます。
 こうしたサービス料も、最初の値段に入っていると思って下さい。





‥‥‥●日本の国産眼鏡は世界ではどういう位置にありますか?
社長/日本の眼鏡づくりは世界に誇る技術を持っています。有名なのは福井県鯖江市です。鯖江の商工会議所には眼鏡課があるそうですからね(笑)。さすがは世界に誇る地場産業ですね。

会長/私が眼鏡屋を始めた頃は、東京の下町あたりでガチャコンガチャコンと作ったものが、ハンドメイドとしては一番いいものとして、よく売れていました。それで福井県の人たちはフランスなど海外で勉強してきたらしいですね。向こうのブランドで使われている機械に日本人が手を加え、加工機もグレードアップさせた。それから福井県の急成長が始まりました。よく海外で日本人というと、眼鏡かけてカメラ下げて・・・(笑)というイメージがありますね。かけている人が多かったということは、それだけ昔からいい眼鏡を作っていたと言っていいのかもしれません。




‥‥‥●機能はもちろん、やはりオシャレな眼鏡選びは難しいですね。
社長/何百、何千と商品を並べられても、どれがいいかわからないというお客様もいます。何が似合うか、意外と本人にはわかっていないことも多い。だから眼鏡屋さんを困らせるには「私に似合う眼鏡を下さい」というのが一番ですよ(笑)。ひとりひとりがイメージする似合い方は、皆違いますし、それこそ美容師さんのように、会話から引き出す必要があります。当社では「クラッチ合わせ」と言っておりますが、いかに早くお客様とこちらのクラッチを合わせるか。それによって、お客様が実はこういう眼鏡が欲しかったんだという潜在した部分が出て来ることがあります。どんなイメージの眼鏡をかけるかで、人との関わり方だって変わってきます。



‥‥‥●親子で商売を受け継いでいくことに関してはいかがですか?
会長/親の背中を見て育って、同じ業界に入ってくれるというのは嬉しいものです。正直、子どもの面倒なんて見ている暇はありませんでした。せがれが小さい頃、よく「隣のうちはお父さんが日曜日にどこか連れて行ってくれるけど、何でうちは遊んでくれないんだ」と言われたものです。商売をやっていれば、とても日曜日になんて休めない。それでもよく同じ仕事についてくれたと、頼もしく思います。

社長/昔のカルテを見てみると、大網や茂原、館山といった房総方面から、千葉まで買いに来て下さっていたんですよね。当時は今よりずっと忙しかったと思います。今は街と商業の形も全く変わってきて、比べるのは難しいですが、とにかく新しい形の眼鏡店が増えました。ひとつのいい製品を長く使うより、安い製品をいくつも持ってかけ替え、どんどん買い替える。それを求めるお客様がいるのは仕方がないこと。しかし、きちんとした眼鏡をかけたいというニーズは消えません。だからこそ、時代が変わっていく中、これからも品質のいい製品を提供していきたいと思います。



‥‥‥●業界の今後はどう移り変わっていくと思われますか?
社長/どんな業界でも、伸びて行くには「情報提供」がキーワードになるのではないでしょうか。美しくなることを覚えたら、美しくなることに必要な化粧品を買い揃える。眼鏡屋も同様で「眼鏡を快適にかけるには、こういうことが必要ですよ」と情報を提供しながら、お客様にはショップのファンになってもらわないといけない。これまで眼鏡屋ではそこの部分が非常に遅れていました。だから実は、あんまり忙しすぎるお店だと、じっくりお話して情報提供する時間が持てないんです。1時間で5人販売しようと思えばできるでしょう。でも1時間で1人しか販売できなくても、やっぱり時間をかけていいものを納得して選んでもらう方がいいんですよ。売り場はやっぱり"人対人"ですね。

会長/眼鏡はやはり「最寄り品」。人生、きれいなものがきれいに見えることはお金に替えられない大事なことです。眼は大切にして下さい。眼というのは、おたまじゃくしでも何でも、眼と心臓が一番先に出来るでしょう?小さな生き物にだって必ずくっついている。眼は心の窓といいますが、自分で選んでなったこの職業、いい仕事だったなあ、やりがいのある仕事だったなあと、今、心から思いますよ。

 

 
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