経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.38】
 
 "お客様の応援企業"として、時代を担う
 
     
  「シンプルな事業を核に、挑戦し続ける千葉の製粉会社」
      
 
           
 
千葉製粉株式会社
沼山社長に聞く
 
 戦後まもない千葉の地で、小麦粉の生産を始めて58年。粉を挽く、というシンプルな事業からスタートし、現在は加工食品や化粧品素材を主力とする機能素材の開発まで、多角的な事業展開で歩み続ける千葉製粉株式会社。10代目社長である沼山社長に、お話をうかがいました。
 
‥‥‥●戦後すぐ、千葉で創業されたということですが?
 千葉で麦がたくさん採れたからというわけではないんです。昔から千葉は米どころで「麦なんて米の裏作」という感覚で、現在の生産量も年間2、3千トン程度ですから。
 創業したのは現在のJFEスチール鞄兼本製鉄所のあたりで、実はもともと飛行機屋でした。旧日立航空機株式会社の空襲で焼け残った工場設備を改造して始まったそうです。飛行機を造っていた人たちが、戦争が終わり、食品関係に転業したのが始まりです。その後、千葉港の食品コンビナートの造成に伴い移転しました。製粉事業は、麦を挽いて、外皮を外して粉にするという、単純でシンプルな業種です。日本ではユーザーの要求レベルが高く、外皮だけではなく、さらに色のついた部分を除いて、中身の部分まで取り分けなくてはならない。麦の品種にもよりますし、さらに品種がブレンドされている場合もある。それをユーザーの方でも使い分けていくんですね。




‥‥‥●原料としての小麦について教えて下さい。
 小麦というのは、輸入量も価格も、全て国が管理しています。我々はそれを払い下げてもらって、粉にするというのが基本的なシステムです。米価と同様に麦の値段「麦価」があって、毎年12月に麦価が決められますが、もちろん毎年変動します。麦の国際相場そのものは非常に安いのに、我々が払い下げてもらうのは1トンで5万円弱。国際価格より1.7倍程度高い価格で買っていることになり、我々は非常に苦しいわけです(笑)。その上、外国から入って来る安い原料と価格競争しなければなりません。例えば砂糖などが混ざっている小麦粉は関税が低く、さらに安いのですが、それが十数万トン、うちが1年間に挽いてる粉とほぼ同量が輸入されるんです。それはもう厳しいですよ。




‥‥‥●国産の麦は扱っているのですか?
 子会社の新葉フーズでは生協さん向けに内麦(国内産麦)パンを作っていました。これは味はともかく、ユーザーには国産という安心感からか、好評でしたね。今、内麦は年間80万トンですが、輸入される外麦は550万トン。主要輸入先はカナダ、アメリカ、オーストラリアです。内麦は麺などに多用され、パンにするのは難しい。小麦のグルテンの強さがパン作りの鍵を握っていますが、内麦だと膨らみにくく、色の面でも白さが出にくいんです。パンにするなら外麦の方が向いています。
 現在はABCの3つのミル工場が稼動しています。ミルというのは麦を挽くことですが、日産315トンのCミルは平成11年、先代の社長が50億円という大変な投資をして完成させました。これは相当な決断だったようですが、このおかげで一気に生産効率も上がりました。それまで外部依託だった部分も自社で出来るようになり、これが無かったら、今の千葉製粉は無いかもしれないというほど意義のある投資でしたね。Cミルの完成後すぐにISO9001、14001を続けて取得し、仕事の流れは格段に良くなりました。






‥‥‥●事業の多角化のきっかけは?
 創業初期は我々が原料をくれと申し出て、それで貰えるものではありませんでした。必要な量の割り当てが無ければ、工場も動かなくなってしまう。仕方なく他のものを作ったりした時期もあったそうです。日本の製粉業界は大手が圧倒的で、とてもかなわない。そこで昭和32年、創業者が食品開発の研究所を作りました。当社の規模で製粉だけやっていては駄目だと、食品研究の部門を作ったんですね。それが創業10年足らずの頃で、現在これだけ拡がったわけですから、創業者には感謝しなければいけません。まさに先見の明だったと思います。現在、当社の事業は大きく分けて製粉部門と、機能素材部門、プレミックス部門、食品素材部門、そして化粧品部門に分かれます。その中で生まれたのが、肉の接着剤「パールミート」と、「レオパール」という化粧品素材でした。




‥‥‥●機能素材部門について教えて下さい。
 機能素材では、小麦粉ではないものも扱います。その代表作が「パールミート」。もともとは昭和30年代、鯨の端肉を接着させる目的で開発されました。それが40年代に入り、ファミリーレストランでステーキを安く食べられるようになりましたが、それは安い端肉をつなぐ接着剤として使われたからです。今では牛肉の輸入も自由化され、わざわざ肉と肉を接着しなくても、1枚肉の方が安くなりましたから、そちらの需要は少なくなっています。
 近年では「骨無し魚」です。加工そのものは海外でしていますが、魚を3枚におろし、骨を抜いた後、またくっつけて1匹魚にするために接着剤を使うんです。骨無し魚については、子どもが食べ方を覚えないなど賛否両論ですが、高齢者や福祉施設向けに、安全のために骨を取ってあった方がいいという需要もあります。時代ごとに、様々な需要が生まれては消えていきましたが、研究する側としては、どういう需要を作っていくかにかかっていますね。





‥‥‥●化粧品部門は、製粉とは関連性がないように思われますが?
 「レオパール」は女性なら皆さん、日常的に使っていらっしゃると思いますよ。国内ではほぼ全てのあらゆる化粧品に使われていると言っていいですし、海外でも使われ始めています。化粧品というのは、非常に多くの種類の油を固めて作るもので、油だけだと液体ですが、それに粘性をつけたり、固形にしたり、例えば口紅ならかたく固めますし、近年人気のあるリップグロスならドロッとさせる、のびを良くするなど製品によって、必要な粘度を出すために使われます。小麦粉から作ったわけではありませんが、そこから発展させて生まれた素材です。千葉製粉という会社名からはちょっと想像できないかもしれませんが(笑)。
 


‥‥‥●製粉業界の今後の展望をお聞かせ下さい。
 日本の製粉会社の多くは戦後、足並みを揃えて創業し、現在、国内に115社あります。当社も来年は創業60年です。大手4社が国内シェアの約75%を占め、うちががくんと下がって5番目(笑)。その下は、さまざまな本業を持った地方の名士が兼業で始めたような製粉会社がひしめいています。何しろ原料は一緒だし、出来てくるものも同じですから、差別化が難しい。仕入れ値(麦価)も同じなら、売る値段(粉価)も各社、同等な価格になっています。そうなると、重要になってくるのは長年の人間関係ですよ(笑)。
 現在は行政改革が進んでいて、業界再編があるかどうかという微妙な時期にあたります。これからは原料の価格が年に何回も変わることになるなど、さらにいろいろ制限されることが出て来ます。平成18年に法制化され、19年に施行予定ですので、その間の動きが非常に重要です。業界が大きな変化を遂げるであろう重要な時期が近い。それにどう対応してゆくかは、業界全体の大きな課題です。



‥‥‥●地元産の穀物を活用した商品はありますか?
 お米では発芽玄米が人気ですね。うちでは千葉県産小麦を発芽させて作った「有芽小麦(ゆめこむぎ)」という商品を出しています。これは私が名付けました。食物繊維も豊富で、栄養価も高いですよ。
 うちは製造するのみで、残念ながら商品の販売ルートは持っていないんです。一般の方から「どこで売ってるの?」という問い合わせもありますが、今のところ会社に来て下さいと言うしかありません(笑)。あくまでメーカーとして、原料の生産一筋で来ましたから、一般ユーザーに直接手にとってもらう機会は残念ながらまずありません。
 しかし今、雑穀を使った商品の開発も始めています。ご飯に混ぜて食べる商品ですが、雑穀は千葉県内で作ってもらっていて、今年はハト麦の無農薬栽培を試みています。化粧品部門の方でも使おうと思っているんですよ。生産者の方は相変わらず米、米なんですが(笑)。何しろ、名前からして千葉の製粉会社ですからね。もっともっと千葉にこだわってみようと思っています。

 
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