経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.43】
 
 モノつくりを通じて、千葉に活力を吹き込む若者たち
 
  「ITが、人と人とを繋ぎ、
   思いを伝えるツールになる」

     
 
 
株式会社かっぺ佐藤社長に聞く
 
  IT”“ベンチャーと名のつく企業が世間を騒がせ、言葉のイメージが独り歩きしている中で、千葉で産声を上げた若者たちのエネルギーカンパニー「かっぺ」。時代の寵児である彼らが信条とするのは、意外にも「モノつくり」の精神でした。経営談話室史上、最年少社長となる佐藤輝幸さんにお話をうかがいました。
 
‥‥‥●先頃、創業者から社長業を受け継がれたそうですね。
 先代、と言っても私と2才しか違いませんが、創業者・岡野は鎌倉時代から続く神社の長男に生まれ、いずれは神主を継ぐ約束で、30才までの期限付きで学生時代に起業しました。当時は皆、成功しないと思っていたようです(笑)。それが株式会社にまでなり、今年ついに30才を迎えるため、昨年9月に私が社長を引き継ぎました。かっぺの前身は「合資会社いなかっぺ」で、千葉大理学部に在籍中だった岡野がサークル仲間と98年に立ち上げたもの。
 「いなかっぺ」は、岡野がITにこだわらない新しいビジネスを手がけていく方向で、「かっぺ」の方はITを軸に若者クリエーター集団としてやっていこうと考えています。
  私が参加したのは大学生だった00年、「株式会社かっぺ」が設立された頃です。まだブロードバンドが普及しておらず、千葉大の生協で貼り紙を見て、インターネット使い放題という文字に魅かれて(笑)。もともとIT業界に興味もあったので、無給でいいから勉強させてほしいと入れてもらいました。その後、私も卒業して正式に入社し、01年に、千葉事業所が今のオフィスに移転して現在に至ります。




‥‥‥●具体的な事業内容はどんな分野なのですか?
 主事業は、ウェブサイトの「制作」となります。ウェブサイト構築に関する、企画部門、システム開発・サーバー部門、デザイン部門に分かれています。
  具体的にオンラインショッピング構築を例にあげると、企画部門がリーダーとなり、デザイナー・システムエンジニアが一緒に企画し、構築していきます。またサーバエンジニアがサーバ管理を担当します。それらの作業を外注せず、社内のスタッフで構築する技術と責任のみえる体制が強みです。また、営業部隊をもたず技術者がすべて現場の最前線に位置していますので、クライアントとの情報のやりとりが伝言ゲームにならず、ストレスの少ない開発・運用体制と柔軟な対応も強みです。
  企業のウェブサイト・
Eコマースサイトを作るということは、現実世界に形のある店舗を建てるのと似ています。我々はインターネットのバーチャル空間にそれを構築するのですが、その手間・モチベーション・想いはリアルな店舗とひけをとらないくらいの労力がかかります。ちょっと大げさですが。
  見た目のデザインや技術・仕組みだけでなく、いかに思いを伝えるか、そこが難しいのです。ただ、実際にエンドユーザが感じて動くのはそこだと思います。そこの手間は惜しみません。






‥‥‥●ITから波及して、他のジャンルに結びつく業務はありますか?
 昨年くらいから、インターネットの世界もスポンサー広告などお金をかけて集客する色が強くなったように思います。その点では、他媒体や販売促進ツールの力を、例えばデザインチームはTシャツのキャラクター企画も手がけるなど、ネット以外の部分にも携わってきました。ただ、根幹となるのは「アイディア・発想をかたちにする」ことで、媒体が変わってもその精神は変わりません。IT以外の新しいメディアやイベント事業、グッズの企画など、人と人、人と商品、人と企業をつなぐコミュニティを活性する業務・商品企画に挑戦したいと考えています。
  かっぺでは、毎年1回、お客様をお呼びしてかっぺ祭りというパーティーを開催します。毎年記念Tシャツをデザインして、お客様にプレゼントしています。
TシャツなどITにこだわらずやってきたことが、今後のビジネスに結びついていく可能性を感じています。





‥‥‥●学生スタッフを抱えるのは業態として一般的なのですか?
 昔は8割が学生でしたが、今は卒業して常勤正社員と学生で半々となっています。ただ、社員のほとんどは学生の頃から業務に携わっていますので会社の業態としては抱えることが一般的といえます。
  定期的に、若い学生を入れることの意義を大きく3つ考えています。まず一つ目は、次々に新しい技術が生まれる
IT業界において、その新しい技術をもったスタッフが会社に自然と入ってくるという点です。次に、将来のかっぺを担うことを見据えたインターンシップ的な位置づけです。一般的な正社員として4月から入社して成長するという過程に含む会社側・就職する側のリスクを大幅に解消しているといえます。3番目には会社のメリットではないのですが、かっぺで働いた学生が、世界・日本で活躍できるように羽ばたいていけるような場所になれば、その意義は十分あると考えています。
  学生スタッフの悩みは、正社員でも同じ悩みにもなりますが、
“サークル気分”という印象を与えないように、制作技術以上に、マナーや基本的なビジネスマナーに気をつけていきたいことがあげられます。ただその部分は、高い志をもち、自分の道がみえれば自ずとついてくると考えていますので、常に高い志をもち進化していく体質の会社であることが大事だと思っています。
  また、応援して下さる方もたくさんいます。地元では、千葉銀行の早川取締役相談役は、南房総出身ですので、先代の岡野もずいぶん応援していただき、その繋がりはまだ続いています。昨年からは千葉大学の学長ともご縁ができ、また、行政では鴨川市など、南房総の自治体の仕事にも携わってきています。そして、同じ千葉市の企業、千葉大ベンチャー企業の皆さんには、いつも勇気をもらっています。そういったご縁がつながって創業時の夢が着実に形になってきたのが
05年だと思います。今年はさらに進化して、自分たちが追い風になって、発信していけるようになりたいと考えています。





‥‥‥●淙々たる大企業が取引先に名を連ねていますが。
  基本的に自分たちで営業はゼロ、口コミかご紹介でつながりのできた会社ばかりです。
   社員は制作部隊であり、人的リソースも不足しているため、営業活動の時間も、営業スキルも足りない状況です。将来的には、営業的な要素・技術を取り入れていく必要があると考えていますが、今は、取り組んでいる案件をとにかく成功させていくこと。目の前の事を、ひとつひとつ着実に実行を心がけ、精一杯成し遂げることが最良と考えています。もっといえばプロジェクトの成功の追い風となることが「最高の営業」となると考えています。
  例えば、
Eコマースサイトを初めは必要最低限の機能によるスモールスタートではじめて、成功し、売り上げも伸び、サーバ増強・システム拡張となれば、かっぺの仕事が自然 に増えていきます。そういう良い循環ができています。今後もその流れをさらに強める方針です。
  現在の悩みは、継続することの難しさ。社内では創業メンバーが去り、創立時の人脈、それまで築いてきたご縁や想いといったこれまで大切にしてきた部分を、どう守っていくかがテーマです。







‥‥‥●キャッチフレーズを教えて下さい。
 新体制で打ち出したコンセプトは『エネルギーカンパニー』でした。創業理念である『IT・インターネットで過疎化する南房総を盛り上げ、その培った技術を世界に発信していきたい』は、05年を期に形になってきた部分がありましたので、経営陣交代に伴い、新しいキャッチフレーズを打ち出しました。
  現在、ウェブサイトの制作会社は他にいくらでもありますから、「活気のあるウェブプロジェクト・ウェブサイトを一緒に作れます!」といった、そんな若さとエネルギーを武器にしていきたいと考えています。そして、その源をうみだす商品を創りだしたり、その源の集団でありたいと考えています。
  日本のものつくり、日本の心、その境地に達していける業種であり、会社です。完全に「ものつくり」の感覚です。手仕事の対極にあるようで、実は全くの職人仕事、実業です。アイデア勝負の知識産業ですが、心技体、身も心も頭も鍛えておかなければなりません。採用の基準も、ものつくりという活動そのものを純粋に楽しめるかどうか。お客様・エンドユーザの笑顔を自分たちのやりがいと感じ取れる人間かどうかに重きをおいています。


 

‥‥‥●新たな取り組みはどんなものですか。

  インターネットだけにこだわずITの視点で、「コミュニティ」「ファン」を基点としたものを考えています。キーワードのひとつめは「コミュニティ」。
  我々の仲間である千葉大学発の
NPO法人TRYWARPが、今年2月に西千葉版の※SNSを作ったんです。これはわずか1ヶ月で会員200人を越え、私たちはもちろん、千葉大の学長も参加しています。今年の新入生4月にアピールして1,000人超えるのではと考えています。
  自分たちはまだできていませんが、こういった「コミュニティ」ビジネスを愛する西千葉で展開していきたいと考えています。ひとついってしまえば西千葉インディーズテレビ局など今構想にあります。その他すでに着手しているものもあります。西千葉から日本・世界に通用する商品・ブランドを、年内に皆さんにお届けできればいいなと考えています。
  ふたつ目が「ファン」。
当社でも働いている千葉大卒業生の松尾貴臣」君という、西千葉ご当地ソング「ゆりのき」(2枚目のシングルCD)を発売予定の西千葉のアイドルがいます。彼のようなクリエイターを盛り上げていくために、ファンをいかに集め、つながり、そのつながりを活発にしていくか。インターネットはそのツールとしての今までの概念・時間・場所を超える可能性があり、そのノウハウ蓄積・システム開発をしていきたいと考えています。
  ファンを支点と考えると、携帯電話によるライブのチケットやアーティストグッズ制作など無限に広がります。例えば人間でなく商品でもいい。ファンというものを突き詰めていくと人間に限らず、動物・商品・場所・イベントにも広がっていきます。
  まずは、そういったクリエイターを応援し、千葉をクリエイターの港町にしたい。
  自分たちで未来の千葉を作っていきたいと考えています。





‥‥‥※SNS ソーシャル・ネットワーキング・サービス
 「友達の友達は皆友達だ」という考えに基づき、人々のつながりを重視して趣味や嗜好、仕事関係、男女間系などを電子的に構築するサポート・サービスのこと。社会的ネットワークをオンラインで提供するものと言ってもよい。インターネットの特徴である「匿名性」を排除するために、会員からの招待状が無ければ会員登録ができない制度を設け、信頼できる・安心できるコミュニティの提供を第一の目標としている。


‥‥‥参考U R L
NPO法人TRYWARPhttp://trywarp.com/
○西千葉コミュニケーションサイト→http://amippy.jp/
○西千葉のアイドル「松尾貴臣」→http://www.omitaka.com/




 
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