経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.45】
 
 6代目・若社長が繰り出す改革の嵐
 
    「105年の歴史を抱きながら、
   新たな発展をめざす」

     
 
 
明文館器械興業株式会社秋元社長に聞く
 
 創業105年を迎える明文館器械興業株式会社。医療機器の販売をはじめとした分野で、老舗商社としての歴史を刻んできました。3年前に社長に就任した6代目・秋元亨一氏は今、精力的に新たな改革を進めています。
 
‥‥‥●6代目社長に就任されて3年目だそうですね。
 今年で入社24年になります。先代は私の叔父で現在副会長、そして先々代は現在会長である私の父です。初代・吉兵衛が東京の本郷で創業したのは明治34年。社名の由来は、明治の創業ですから「明」。医学書の出版からスタートしていますから「文」。「館」はおそらく時代的な雰囲気からではないかと思います。先代たちの世代は1213才頃から家業に携わってきたそうです。ところが私は学生時代から勉強嫌いで、遊びやスポーツばかり一生懸命やっていたのですが、大学1年の時、次期社長にと望まれていた従兄弟が28才で急逝したのです。その通夜の席で親族から「亨一、これからはお前が明文館をやってくれ」ということになりました。まさか自分が社長になるつもりなど全くありませんでしたし、結局、卒業する寸前まで悩みましたね。子どもの頃、朝早くから夜遅くまで、毎日働き続ける親たちの姿を見ていましたから。しかし真剣に考え抜いた結果、決意が固まりました。父には「それだけの覚悟はあるのか。大変だぞ」と言われましたが、思わず「あるよ!」と勢いで答えていました。当時社長だった伯父(現・相談役)はとても喜んでくれましたね。ただ、一度は他人のメシを食ってこい、とも言われたのですが、あえて断りました。それで新卒で晴れて社員となったんです。思えば、従兄弟さえ生きていたら、私は社長どころか入社すらしていなかったかもしれません。




‥‥‥●社長に就任して、社内の体勢は変わりましたか?
 入社以来、丸18年は何の肩書きもなく、一人の営業マンとしてやってきましたが、今はその頃に比べると忙しさは倍増しました。でもその忙しさは、自分で作り出してるんですよ。私は自他共に認める「改革マン」。とにかく改革を進めて、あらゆることを変えていく途上にあるんです。それは、105年の歴史があるからこそ。「創造的破壊と進歩」がテーマです。いいものはもちろん残しますが、105年前のものが当時と同じように通用するわけではありません。それを1つ1つ、分析しながら机の上に片っ端から並べていって、それはとても時間のかかることですが、これは大事だから残そうとか、これは捨てた方がいいとか、その作業です。これを1つ変えようとすると、それに附随して2030も案件が出て来てしまう。それが同時進行でどんどん拡がっていくので、もう自分で自分を崖っぷちに追い込んでいるようなものです(笑)。たぶん、こういう状況の中にいないと私は駄目なんだと思います(よく爆発します(笑い) )





‥‥‥●歴史ある商社として、時代を生き抜くポリシーは?
    よく話すのは「ホスピタリティ」おもてなしなんです。お客様には感謝の気持ちで、と言っても、当社では得意先様だけではなく仕入れ先様もなんです。物作りをしている会社ではないので、仕入れ先が物を売ってくれなければ商売は出来ません。得意先はもちろん大事ですが、仕入れ先様があるからこそ商売が出来る、それが嫌なら自分のところで物作りをすればいい。ましてや電話1本、ファックスの紙1枚で、何百万、何千万円のものを出荷してくれる。これは信用あってのこと。こちらもそれに対してしっかりと約束を守る。これがやはり、無形な財産ですね。有形かもしれません。105年かけて、先代たちが築いてきたものですから、これは絶対に残していかなければなりません。
 バブル崩壊後、特にこの数年、医療をめぐる環境はものすごい勢いで変わってきました。医療費改正、昨年4月には改正薬事法というのが施行され、これはこの105年の間には無かったことです。一般的に、医療は景気も関係ないだろうとよく言われますが、今は銀行や病院が平気で潰れる時代です。これは当社の長い歴史の中でも未経験のこと。今そういうステージに私がいるわけで、例えば当社で新規開拓して新しいお客様を獲得する時には、与信もしっかりやらざるを得ません。僭越ですがお客様を今、選ぶ時代になったのかもしれません。その上で、何処で利益を出していくかが我々の知恵と努力の部分です。




‥‥‥●社員が携帯する手帳を活用されているそうですね。
 「元気手帳」というものを、社員全員に毎年配布しています。本当に大事な手帳ですから、毎日携帯して1日何回も見てほしいので、抜き打ちで回収してチェックするんです。罰があるわけではありませんが、持ち歩いてもらうためです。繰り返し、繰り返し熱い想いで、言い続けるしかありません。手帳には自分自身の目標も書いてもらっています。今年1年笑顔で行きますとか、残業しませんとか、ベンツが欲しいですとか、何でもいいんです。ちょうど先日、今期の手帳を配ったばかりで、書き込んだ目標を全員分、紙に書いて社内に貼り出し、お客様にも見ていただいています。
  会社としては、よく働き、よく休み、よく遊んでほしい。だから消化できない有給休暇は翌年に繰り越しますが、結局は消化できない場合が多いので、もう強制的に自己申告させて、手帳に書き込んでもらいます。それが次の手帳のスケジュール欄に印刷されます。繰り越しの場合、連続5営業日に土日を足して最大9日まで取得できます。いや取得しなさい、です。なおかつ、総合評価でAランクの社員には、「元気金」を10万円支給します。本人よりも奥様や子どもさんに向けた感謝の気持ちです。
 ただしこれも、やってみてあまり効果が無ければまたすぐに変えていくと思います。中には、9日間も恐くて休めないという人もいますが、病気になったり怪我をしたら、1ヶ月程度休むことは十分に有り得ること。そうなった時、その人がいないと困るようじゃ駄目なんです。グループで調整しあい、皆でフォローすればいい。休んだ者が悪者扱いされるなんて、絶対にいけません。ただ、現実にはなかなかそうはいかない。実は私自身もなかなか休めていないので、今度こそ絶対に取るつもりです。今年は10月に取りますから来期の手帳には掲載されます。




‥‥‥●社員との交流はどうしていますか?
  四半期ごとの飲みニケーションデーが4部門それぞれに決められ、やはり手帳のスケジュール欄に書き込まれています。また部門ごとにレクリエーションデー、クリーンデーなども記入されています。この日は、各社員からワンコイン、500円だけ貰って、あとは好きなだけ飲んで食べてもらって、愚痴を聞いたり、2次会、3次会まで行って、彼らの本音が聞けたりします。実は今日もこの後、ひとり気にかかる社員がいて、6時から飲みニケーションです。これはもう仕方ありません、経営者の大事な仕事です。ある程度の礼儀を残した上で、風通しよくコミュニケーションを取ることは絶対に必要で、そうでもしないと現場の考えや意見というのは上がって来ないし、わからなくなってしまうんですよね。それでどうやって舵取り出来るのか。確かにいいブレーンを揃えれば済むでしょうが、33人の集団です。ひとりひとりフルネームもわかれば、自宅はどのへんだとか、どんな服を着て来たっけ、と把握出来るくらいの規模なんです。






‥‥‥●ボランティア活動を長く続けていらっしゃるそうですね
 小学校4年から高校3年までは団員として、指導者の立場になってからも含めると30年以上です。「日本海洋少年団」という世界組織なんですが、私が所属する支部は稲毛海岸のヨットハーバーを拠点に活動しています。その千葉県連の事務局長を長くやっておりました。来年8月には全国大会が千葉で開かれるので、責任重大です。小型船舶の免許もあるので、稲毛にクルーザーとパワーボートが繋留してありますが、最近は時間がなくてほとんど乗っていませんね。でも船ってそんなにキレイで豪華なものじゃないですよ(笑)。私たちのは中古船で、地元有志からの寄付などでようやく運営しています。遊び用でなく、救助艇や監視艇として使っているんです。

 

‥‥‥●社長の夢をお聞かせ下さい。
  今年の誕生日に、思い付くまま書いたことを手帳に貼ってあるんです。「夢を語り、具現化することが経営者の最大の役目である。混迷とスピーディの時代に問われるのは何と言っても経営者のリーダーシップである。いかなる難局、難問をも乗り越えていこうとする経営者の高い志と実行力と、時代を冷静に見据えた生き抜くための知恵が必要である。もっとも重要なことは、経営者が夢を語り具現化していくことである。1、明確な目標とビジョンを持つこと、2、揺るぎなき経営ポリシーを持つこと、3、社会に役立つこと当社の事業指針を支えている自信をしっかりと社員全員に植え付けることが大事である。即ち医療・科学・産業界に貢献していることを経営者は社員全員とともに大いに誇るべきである。ものづくりは人づくり、全ての基本は人である。社員ひとりひとりが主役であることを語り、人と組織を活性化させることが最重要である」。夢と言ってはなんですが、毎日自分に言い聞かせています。これがなかなか出来ないものですから、そこには「揺ぎ無き挑戦」と書き添えてあります。











 
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