経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.53】
 
 思いやりの心で千葉の街を走る
 
 

「地元タクシー業界の
  リーダーとして歩んだ70年」


 
千葉構内タクシー株式会社・吉田会長、加藤社長に聞く
 
  規制緩和、自由化の波に揺さぶられるタクシー業界。厳しい世相を嘆く暇もないほどに、とびきり元気な会社として次々に新たな顧客サービスを打ち出す千葉構内タクシー株式会社。経営危機を乗り越え、昨年創立70周年を迎えた老舗の3代目・吉田会長と、革命的な改革を次々に打ち出す加藤社長にお話をうかがいました。
 
‥‥‥●創業当時のお話を聞かせて下さい。

会長 昭和11年、私の祖父が合資会社千葉駅構内タクシーとして創業しました。昭和初期は、人力車から自動車へと移行する時代だったと聞いています。戦時中には燃料不足のため木炭タクシー、終戦後は駐留軍に焼け残った車輌も接収されてしまい、言葉通りゼロからの再スタートを切ったようです。その後、父の代で順調に会社が成長していき、現在は千葉では千葉構内タクシー、第一構内タクシー、津田沼でハト交通、成田の参光タクシー、空港のエアポート交通とアルファ交通、そして八日市場タクシーと、タクシー・ハイヤー業で7社、自動車ディーラー2社、自動車教習所が2社、貸ビル業、人材派遣業、旅行会社等、ひとつひとつは小さな会社ばかりですが、グループ15社全体では従業員数約850名となっています。



‥‥‥●業界に例を見ない、斬新なサービスを次々に導入されているとか。

社長 この時代、手をこまねいていれば、いつ衰退するかわかりませんから、積極的に事業推進に取り組んでおります。特に、社会的弱者にやさしいタクシーでありたいという思いから、業界では異例のスタンプカード導入により、近距離でも頻繁に利用して下さる常連客、特に病院へ通院されるお年寄りの皆さんへの還元になればと考えました。週2回の通院なら行きと帰りで4回も乗るわけです。20回乗ったら500円のクーポン券や、さらに回数を重ねると宝くじをプレゼントしているのですが、「もらったくじが当たったよ」という喜びのお声もいただいています。ハイヤーは、車種を順次セルシオにグレードアップして、ハイヤー利用のお客様から、「セルシオで送迎してくれるなら.....」と喜ばれています。また車を持たない方がペットを連れて動物病院へ通うための、ペット輸送サービスも行なっています。病院での治療後は自宅まで送り届ける。飼い主さんも一緒に出かけたいという場合は専用のワゴン車を用意して、ペットともども送迎しています。また海外で暮らしていた方がペットと一緒に帰国した時、飼い主さんはいいんですがペットは空港で検疫があって1?2日泊まることになります。その際、先にご自宅に戻っている飼い主さんのところにペットを送り届けるサービスも好評です。これらのサービスは将来的にも伸びて行くものと考えています。それと、これは時代に関係ないかもしれませんが、雨の日に当社のタクシーに乗ると、傘を1本差し上げています。1台に10本くらいずつ積んで走っているんですよ。更に、タクシー車内にクレジット端末機を搭載し、タクシー料金をカード決済できるようにしたのも、千葉市内並びに成田空港エリアでは、当社が初です。ちょっとしたことですが、例えば深夜に女性が1人で乗車された時には、車を降りた後、即座に走り去ってしまうのではなく、お客様が玄関を入られるくらいの時間を、さりげなくその場に停車しているように心がけてもらっています。たとえ駅前にタクシーが5台並んで待っていても、当社の車を選んで乗っていただきたい…全てはそんな思いから生まれたサービスです。



‥‥‥●昨年の飲酒運転の取締り強化以降、運転代行も注目されていますが?

社長 当社では、一般のお客様はもちろん企業の方が持っていらっしゃるタクシーチケットを、運転代行でも利用できるということを、これからはPRしていきたいですね。しかも当社のタクシーチケットは東京の大手タクシー会社グループ4社(帝都、大和、国際、日本交通)とチェッカーキャブグループ、約1万台強と提携しています。ちなみに千葉にお住まいのお客様が、東京でタクシーに乗る機会というのは、売り上げにして月間でなんと2500万円。逆に東京にお住まいのお客様が、千葉で乗るのは月間300万円です。ぜひ当社の便利なタクシーチケットを、東京でも千葉でも活用してほしいですね。



‥‥‥●社会的責任を重視した活動にも多く参加しておられますね。

社長
 治安が悪化する中で、昨年より千葉市内各警察署と連携し、地域社会の安全を実現するべく、子ども安全パトロールにも協力しています。採用については、学歴や年齢、性別による制限は一切ありません。社内には女性ドライバーも8名おりますし、内部障害者や上肢・下肢障害者などの雇用も積極的に行なうほか、03年に65歳定年制を採用しました。高齢者が可能な限り長く働けるよう、正規の勤務日数の3/4以下での勤務もできるようなシステムを整えています。また昨年、新たなシステムを業界で初めて、導入しました。デジタル無線、カーナビ、ドライブレコーダー。この3種の神器で、女性や新人でも道に迷うことなく安心して運転することが可能になったのです。従来は、お客様からタクシー依頼の電話が入ると、走行中の全てのタクシーに無線連絡が行なわれ、その音声が運転手はもちろん、乗車中のお客様の耳にも入っていました。しかしデジタル無線とカーナビを組み合わせるシステムでは、タクシーを待っているお客様から一番近い場所を走っているタクシー1台のみのカーナビの画面に、迎えに行く場所を示すことが出来るようになったのです。これによって個人情報も保護されますし、お客様にとっては迎車料金が安くなるというメリットもあるわけです。ドライブレコーダーは、飛行機のフライトレコーダーの自動車版で、事故直前に何が起きたのかが詳細にわかる映像とデータが保存されます。車の急発進や急停車、スピードの出し過ぎ等の際、警告が出ますから安全運転を促すだけでなく、事故の発生状況を仔細に分析できることから、新たな事故を未然に防ぐことも可能です。事実、事故処理能力も上がり、責任事故が半減しています。




‥‥‥●乗務員のマナー向上にはどう取り組んでいらっしゃいますか?

社長 かつて成田のタクシーと言えば、“日本一悪いタクシー集団”で有名でしたが、まずは当社のタクシーをきちんとすることに努めました。今はかなり評価されるまでになったと思います。昨年4月からは乗務員マナーの素晴らしさで有名な東京MKタクシーさんと業務提携したことで、売り上げ増はもちろん、当社の乗務員のマナー向上につながりました。東京MKタクシーさんに負けないレベルの乗務員を目指すことで、自然に彼らに近づいていく相乗効果が得られたんです。さらに今年2月からの「ちばディスティネーションキャンペーン」で、全国から訪れる観光客を温かく迎えるための接客講習会なども行ないました。当社はもちろんですが、業界全体のマナー向上に貢献したいですね。

会長 タクシーは単に、お客様をお乗せして運ぶというだけじゃない。やっぱりそこで、運転手ひとりひとりが頭を使っていかないと。お客様が乗車後、たった15秒で、運転手の印象は決まると言われています。こちらが良かれと思ってすることと、お客様が良いと感じることの間にはギャップがあります。あまり喋っても、車内では静かに過ごしたい方もいらっしゃいます。逆に一言も喋らないでいても、和やかに世間話をしたい方は何だと思うでしょう。大切なのは、“当たり前のことを当たり前にする”こと。何事も程よく、シンプルが一番です。確かにトラブルの多い業種ではありますよ。毎日の経験から最短のコースを選んで走っているのに、お客様から「遠回りされた」という苦情が出ることもありますし、苦情すら言ってもらえずに去っていくお客様は、もう二度と乗っては下さらないですからね。これは本当に難しいことで、永遠の課題だと思っています。

社長 社員教育は部下に一任しているのですが、経営サイドとして力を入れているのは組合との労使協調。また全ての幹部社員は、毎朝8時から30分間、討議するようにしています。昨日あったこと、事故や故障、苦情など様々な報告を皆で確認しあいます。企業として、まずは幹部から身を律する。そうすることで社員がついて来ると信じています。




‥‥‥●今後の展望をお聞かせ下さい。

会長 実は数年前、2000年当時、当社は創業以来の経営危機の最中にあったんです。先代社長の右腕として活躍していた加藤末昭副社長が社長に就任してからは、社をあげての大幅な改革に着手しました。約3億円という大きな赤字を抱えての再スタートでしたが、なんとか5年間でそれを消して、昨年70周年を祝った時には既に社内の負の遺産処理にめどがついていました。今年1月からはまっさらな状態で、新たなスタートを切りたいという心づもりでいます。千葉の老舗・タクシー会社の最大手として、業界のリーダー的存在として、規制緩和や自由化の波に揺らぐことなく、社員一丸となって邁進していきたいと思っております。






 
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