経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.64】
 
ジュエリーが、お客様の人生を美しく飾ることに喜びがある

美しさという感動を
   与えるプロとして歩む

 
株式会社ジュエルはま 濱地 正博 社長に聞く
 
  25周年を機に、社内に製品加工・ジュエリーデザインのアトリエが誕生した株式会社ジュエルはま。設立32年の歴史を振り返り、さらに未来を見つめる濱地正博社長にお話を伺いました。
 

‥‥‥●創業当時のお話をお聞かせ下さい。

 私は両親が三重県で真珠養殖をしていましたので、多少なりともこの業界に知識がありました。我々昭和24年生まれは全共闘世代で、学生時代は大学もロックアウトされ、授業にならなかった頃です。それで20才の時、宝石関係の会社を立ち上げました。2年程やってみて、ある程度の利益は出せたんです。ただ仕事をする上で、会社をどう運営・運用していくかわからず、先が見えないことに不安を感じました。そこでもう一度目的をしっかり持って学校に入り直し、真剣に経営を勉強しました。その後、株式会社として設立したのが今のジュエルはまです。一昨年が30周年でした。真珠を中心とした宝石の販売から、貴金属を含めたバリエーションを加えていきましたが、商品は今も真珠が約30%を占めています。



‥‥‥●30年の歴史の中で苦労されたのはどんな部分でしたか?

 現在メインとなっている「職域販売」として千葉県内の官公庁・学校・生協での販売を始めるにあたり、まずお客様として公務員の方なら安心だし、仕事仲間と一緒に購入するという方もいらっしゃる、そこから信頼や信用が拡がっていく、また職場での販売という形のユニークさ・新鮮さが面白いんじゃないかと思いました。しかし数十年に渡って信頼を築き上げるのは大変なことでした。売上げを上げることよりも、売った後にクレームを出さないことの方が難しい。宝飾品というのは値段も高価ですし、商品そのものも繊細です。お支払いに関わるやりとりや納品時期など、とかくクレームやトラブルの出やすい業界です。その中で、これといって大きなトラブル無しにやってこられたというのが一番の誇りです。トラブル時にどう対処できるか、そこが、お客様がファンになって下さるか否かの分かれ目です。職域販売の特徴として、ご夫婦・ご家族・ご友人同士で利用していただく機会も多く、お客様のつながりも密なので、万が一のクレームには社員一同、心して対応するようにしています。



‥‥‥●女性社員が生き生きと働いていらっしゃいますが、秘訣は?

 やはり社員教育は大切です。今から23年前に取締役の山本が入社し、彼女が非常に優秀で、部下に対するのがとても上手いんですね。そんな人材に恵まれたことが、当社にとって大変良かったと思います。社員のモチベーションを上げるために山本が日頃から心がけているのは、とにかく明るく声をかけ、日常の挨拶を大切にすること。そういう上司の姿を見て、自然と新入社員も中途採用の社員も自発的に習慣づけて、それが社風となっていきました。他社の方からも「明るくて元気のいい会社ですね」というお声をいただきますし、また社員が自ら「会社が好きです」と言ってくれることもありがたいですね。
 私からは「親に感謝しろ」と言うくらい。社長として心がけてきたのは、社員の目線、立場に立って、それぞれの話を聞くことです。社員ひとりひとりの意見や姿勢をそのまま受けとめられる環境づくりに努めることで、社員が自由に意見を言える、困った時に何でも話せるような会社でありたいと思います。



‥‥‥●社員の方が取得する資格などはありますか

 現在、ジュエリーコーディネーター検定の試験を社員が受験し、それに対する支援もしています。また会社設立25周年を機に、ジュエリーデザインのアトリエを造りました。それまで他社に発注していたサイズ直しや修理までを自社で行えるようにするため、専門の職人さんに入社してもらい、設備も揃えました。今はそこでオリジナルブランドも展開しています。売る側の一番の喜びは、お客様が、商品を愛着もってどんどん使って下さること。大事にしまっておいて、たまに箱から出して眺めるよりも、まず身につけていただいて、お客様の装いを引き立てたところを周りの方から「あら今日、素敵ね!」と言ってもらう、それこそが我々はうれしいんですね。どんなに大事に扱っても、モノですから必ず壊れます。その時、まずは買ったお店に持っていく。でも実はほとんどの宝石小売店では自社加工しておらず、業者に出している。それでは仕上がりも把握できないし、本当にその商品を語るには、そしてお客様に感動を与えるには、販売に当る社員が職人の作業が大変な過程を経て仕上がることを知ることが大切です。営業の社員も研修で体験しますが、たった1本のサイズ直しに丸1日かかりますし、仕上がりも美しくありません。大変な技術がないと出来ない仕事です。その実体験があるのと、ないのとでは雲泥の差があるでしょう。宝石の仕事を志す以上、社員には商品が産まれる作業行程や技術を知識として身につけていてほしいですね。


‥‥‥●社員の方が、権威ある賞を受賞されたそうですね。

 昨年、当社の社員が第31回インターナショナルパールデザインコンテストに初めて応募し、作品賞の銅賞と、志摩市長賞をダブル受賞しました。他の受賞者は全て超大手宝石会社やメーカーさんでしたので、快挙と言ってもいいと思います。アトリエではジュエリーのリフォームも承りますが、お客様にしてみれば、どういうものになって返ってくるかわからない不安もあるでしょう。当社の場合、デザイナーと職人が栄えある賞を受けていることを、ひとつの目安にしていただけると幸いですね。デザイン画は2次元ですが、商品は3次元です。平面から立体にイメージを拡げるのは非常に難しいのですが、私からも当社のデザイナーと職人は一流だと胸を張って言えますので、どうぞ安心して、彼らのセンスにお任せしていただければと思います。


‥‥‥●職域販売ならではの難しさというのはありますか?

 当社では顧客管理に力を入れることがリピートに繋がっていると考えています。それぞれのお好みや、それまで買っていただいた商品などがデータとして蓄積していますから、その情報こそが財産ですね。お客様に私どもを選んでいただくということは、商品の良さはもちろん、どれだけ親身になった営業ができるかにかかっています。今、どんな商品をお手元に持っているか、どういった傾向の商品がお好きか、以前に買われた商品はそろそろメンテナンス時期ではないか…そこまで把握することで、お客様は営業担当者と深い信頼関係を築いています。宝飾品は、人生の中でそうしょっちゅう購入するものではありませんし、少しずつ買い揃えていく楽しみもあります。年齢とともに上質なものを身につけていくという、女性の人生に寄り添うような部分がありますから、我々がそのプロデュース的役割を担っているのかもしれません。思い入れを込めて購入されるその時に、そしてその何年か後に「あなたから薦めてもらって、買って良かったわ」というお声が、何より嬉しいと営業の者は口を揃えて言いますね。職域で買っていただいた方の中には、退職されてからも展示会に足を運んで下さる方も多いんですよ。



‥‥‥●社長にとって、宝石とはなんですか

 やはり「お宝」だと思います。ギリシャにあるデルフォイ神殿の破風には「美しいものは絶対に正しい」という言葉が書かれています。これは時代を越えた信念ですね。日本では残念ながら奈良時代中期から江戸時代まで、女性が宝飾品を身につけることがほとんどなかった。古代では男性もパワーを宿す意味合いから宝飾品で身を飾ってきましたが、本来女性は時代や民族・文化を問わずに美しいものが好きです。子どもでも2〜3才になると、女の子はきれいなものに魅かれていく。これは持って生まれた本能でしょう。洋服のように毎日着替えるものでもなく、時計のようにつけていて便利なものでもない。精神的なもの、その美しさ、目にした時の感動、心の満足。宝飾品を扱う上ではそれらを一番大事にしたいと思います。そうそう買い替えるものではないからこそ、選んで良かったと思えるものを、妥協せずに身につけていただきたいですね。


‥‥‥●日本のジュエリー界の今後の展望は?

 産業革命以降、宝飾品も大量生産の時代に入っていきました。日本ではバブルを経験し、経済的なピークはすでに迎えてしまった。ジュエリーは本場ヨーロッパのコピーから始まったという意識がありますが、本場でも、せいぜいここ150年程のことで、それが日本にもたらされてから約40年。その間、やっと日本人のファッションも欧米に追いついてきた。今の日本女性はお洒落になって、世界でも注目されるようになっています。あと何十年かすれば、ジュエリーでも日本が世界の先頭に立つ、あるいは日本独自の文化として確立され、成熟していくのではないか。その頃に、その一翼を担えるような会社になっていたい、というのが私の夢ですね。そのためにも、今はこの千葉にしっかりと根をおろした会社として、これまでお世話になったお客様にお返しをしていかなければなりません。近い将来はこだわりの商品を集めた新たな店舗展開も検討していますし、会社としても成長していければと思っています。

 
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