経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.73】
 


精肉卸の枠を超えた新たなる挑戦…

経営革新と新商品開発で
   生き残りをかける

   

 
株式会社シェフミートチグサ 鴨狩 弘社長に聞く
 
  意欲的な中小企業などを支援する「経営革新計画」、地域の特産品や観光地などを活かした新事業計画を支援する「中小企業地域資源活用プログラム」と、千葉県と国が進める両制度の承認、認定を立て続けに取得。新たな事業に意欲を燃やすシェフミートチグサ。20年30年先に生き残ることができる企業にしたいと語る鴨狩社長と、その子息で新商品開発から認定制度の申請業務まで主要業務を精力的にこなす大和取締役統括部長に同社の取り組み、展望をうかがいました。
 

‥‥‥●まず、創業の経緯からお聞かせ下さい。

社長 当社は昭和39年に、父親が「千種精肉店」として創業しました。当初は、個人商店として社員食堂や学校給食などの業者への卸売りが中心でした。平成8年に有限会社に改組したころは、兄が本店、私は園生町(稲毛区)にあった支店を切り盛りしていたのですが、兄が家業を離れることになり、私が跡を継いで現在に至ります。平成15年には、株式会社となり、現在は息子の大和(取締役統括部長)が片腕となって頑張ってくれています。
 今年2月に県の「経営革新計画」制度の認定を受け、現在、店舗のリニューアルをはじめ、飲食業(焼き肉レストラン)への進出などを3年計画で進めています。さらに9月には、国が進める「地域資源活用プログラム」の認定も受け、これは5カ年計画でこれから取り組んでいくところです。


‥‥‥●これら制度の認証を受けられた背景を聞かせてください。

社長 私たちは、大手卸とエンドユーザーの小売店の間に入るいわゆる“中間卸”ですが、最近は小売店が大手からダイレクトに仕入れる形が多くなってきました。このままでは、中小の卸は淘汰されてしまうという危機感がありました。そこで、新しい分野への進出やオリジナル商品の開発などで業界生き残りの道を探っていたのです。
部長 千葉商工会議所の地区担当の大内さんと当社の将来的なお話をさせていただく機会があり、そのなかで、「県の経営革新計画の申請をしたらどうでしょうか?」というお話をいただいて、小売店舗の改装や新分野への進出などを盛り込んだ事業計画を立てました。その後、おかげ様で県から承認をいただきました。
 ひと段落したころ、大内さんから「実は国の制度で、地域資源を活用した事業プログラムがあります。補助金なども出ますし、もう一つ上のランクを目指せます。事業計画にうまくもりこんだらそうでしょうか?」というご提案をいただき、ちょうど私たちが考えていた新しい加工品の構想をお話したところ、後押ししていただく形で、本格的に申請に動くことになったわけです。




‥‥‥●新しい加工品のアイデアとはどういうものですか?

社長 県産ピーナッツと県産豚肉を使ったソーセージやハム、ベーコンといった当社ならではのオリジナル加工品を計画しています。イタリアのモルタデラのような、いろいろなものが入っているソーセージをイメージしています。
部長 千葉県は、豚の飼育では全国でも四位の実績があります。そこで、千葉の豚と、誰もが知っている千葉の特産物を組み合わせた加工品というアイデアが生まれました。では、他県の方が千葉の農産物でパッと頭に浮かぶものとはなんだろうと考えたら、それが落花生だったわけです。そこで、落花生をクラッシュしたものを単純にソーセージなどに混ぜて試作品を作ったところ、好評でしたので、本格的に開発する運びになりました。
社長 地域資源活用の5カ年計画は10月1日にスタートしたばかりで、このピーナッツ入りソーセージが実際に消費者の口に入るのは、年末以降になりそうです。しかし、棚に並ぶようになれば、うちの目玉商品になると期待しています。当初は、ソーセージの中に落花生が入っているということで、子どもに喜ばれるかなと考えていたのですが、東京で開かれた加工品の品評会に出品したところ、専門家の先生方から「これはワインに合う」と評判になり、食事やワインと一緒に楽しめるよう、味のバリエーションも研究しているところです。


‥‥‥●新しい加工技術にも取り組んでおられるとか。

部長 氷温熟成技術という、医療や食品分野でかなり注目されている技術です。食品や生き物が凍る温度帯を「氷結点」と呼びますが、氷温はこの氷結点寸前までの温度をいいます。食品にもよりますが、だいたいマイナス2度近辺です。生肉は新鮮な状態であれば細胞はまだ生きていて、凍る寸前になるほど、細胞が生きようと活発になり、その結果肉のうまみ成分がでてくるのです。氷温状態をずっと維持することで熟成がかかり、なおかつ衛生的にも安全性を保てる利点があります。



‥‥‥●この技術を新商品開発に活用していくわけですか?

部長 今度オープンさせる焼き肉レストランで、この氷温熟成技術を使った肉を提供できればと考えています。そうすることで、同じ肉でもこの熟成技術により付加価値をつけられると思います。もちろん、研究中の落花生入りソーセージでも原料の段階で熟成させ付加価値をつけさせることもできると思います。



‥‥‥●今度オープンする焼き肉レストランのイメージは?
    またオープンはいつごろの予定ですか。 

社長 当社の売り場に並ぶ肉はいずれも、特長を持った血統・エサ・飼育方法・環境にこだわった商品をそろえています。価格は決して安くはありませんが、焼き肉レストランでは、「ショウウインドウに並んでいる上等の肉をテーブルで食べられます!」、というのを売りにしていきたいと思っております。
 オープンは当初、年内を予定していたのですが、来年の8月頃になりそうです。当社は、この5月に売り場をリニューアルして、おかげ様で売上は大幅に伸びて、新しいお得意さんも増えましたが、書き入れ時の年末商戦でどれだけ売り上げを伸ばせるかが気になります。景気の厳しい状況ですので、集客力も心配です。ですから、もう少し様子を見ようと。仕入れなどの問題もありますしね。


‥‥‥●生産にも手を広げる計画があるとか。

社長 養豚農家さんは後継者不足で、廃業を考えているところも多いようです。このような状況の中、千葉の畜産業の活性化の一翼を担えればという思いを持っております。また千葉市周辺での都市型の養豚というスタイルでPBの豚を誕生させたいと思っています。
  自社で生産することで、お客さまへの信用を高められるという期待があります。販売する肉を自社で生産することで、どんな種類の豚で、どんな餌を食べさせてどう育ててきたかを、お客さまにダイレクトに説明できるわけです。


‥‥‥●昨今、BSEや鳥インフルエンザ騒動、さらにミートホープ事件など、
     業界に直結している出来事が立て続けに起りました。御社にも影響が大
    きかったのでは。

    

社長 特に大きかったのは、BSEや鳥インフルエンザ騒動のころでしたね。さらに台湾で口蹄疫で豚が全滅し、牛、豚、トリと、取り扱う商品すべてに影響を受けました。そこへさらに規制緩和が追い打ちをかけてきて、業界内での生存競争も厳しくなってきました。
部長 中国産をはじめ、今は輸入肉そのものが消費者から避けられる傾向にありますが、当社の小売店にとっては、国産品に目が向けられてきたという意味で追い風です。小売り店舗では差別化を図るために国産のものしか店頭に並べていません。実際、専門店で国産のものを買ったほうが安心だというお客様も多くいらっしゃいます。
社長 店舗リニューアル後は、お客さまのリピーター率も高くなっています。「もはや専門店に生き残れる術はない」といわれたこともありましたが、そんなことはないと、近頃私はそう実感しています。やはり、ちゃんとしたもの、おいしいものを集めていれば、お客さまも集まるのです。

‥‥‥●今後の展望についてをお聞かせ下さい。

社長 今研究している商品だけで終わるのではなく、新しいものを考えていきたいですね。止まっていたら、企業も止まってしまいますから、常に流れていかないと。実は、これまでは養豚業まで考えてはなかったのですが、さまざまな状況から判断して、5年後までには必ずやろうと決めています。
 とにかく、私は20年30年生き延びられる会社を作らなければいけないと思っています。今まで頑張ってきた社員たちみんなが、いい給料をもらえるようにしてやりたい。うちで何かを試したいと入ってきた社員たちの思いを無にさせたくありません。20年30年働いて、「やっぱりいてよかった」と思ってくれるような会社にしていかなくては。そのために、今から地盤づくりをしているのです。

 
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