経  営  談  話  室 
【経営談話室 Vol.75】
 


稲毛駅前に“猫カフェ”オープン

猫たちが現代人のこころを癒す
  

   

 
有限会社キティボックス 花島 秀俊社長に聞く
 
  千葉市を拠点に、県内外の愛猫家・愛犬家から厚い支持を受ける猫・犬専門の美容サロン「キティボックス」を展開。昨年11月3日には、新たな試みとして猫との触れ合いを楽しめるスペース「猫カフェ」をJR稲毛駅前にオープンしました。ペット業界に飛び込んだきっかけからペットビジネスの展開などについて、花島社長にお話をうかがいました。
 

‥‥‥●まずは、猫カフェ「きてぃぼっくす」について紹介してください。
  この店は、人が  猫たちとふれあうことができるスペースです。飲食エリアと、猫たちがいるエリア(猫広場)に分かれており、自由に行き来できます。猫たちは全部で15種類約70匹おり、10〜15匹を2週ごとに交替させています。この猫たちは、ここでは「猫スタッフ」と呼んでいます。猫たちがお客さまのお相手をするわけで、いわば当店の営業スタッフというわけですね。人間のスタッフは三人いますが、ここではむしろ猫たちのサポート役といったところです。当店の猫はすべて、私が講師を務めているちば愛犬動物学園で飼育されているもので、グルーミング(※)の実習などで使われています。したがって、いずれも長毛の猫が多いのはそのためです。従業員も同校の卒業生たちです。

※【グルーミング】動物の毛の手入れ。カットなどの「トリミング」、ブラッシング、爪切りなど動物の美容全般を指す。



‥‥‥●こうした店をオープンするまでの経緯は・・・。
   私は、27歳のときに脱サラしてペット業界に飛び込みました。それまでは、予備校で数学や化学を教えていました。もともとは教員志望だったんです。でも、講師をしているうちに、何か自分で事業を起こしてみたいと思い、「定年後も食べていける職種がいいだろう」ということと、妻が猫好きだったこともあり、ペット業界に飛び込みました。
 今から25年ぐらい前の話です。


‥‥‥●目指していたのは、ペットショップ経営ですか?  
   私がやりたかったのは、ペット美容です。ただ、当時はペットの知識はまるでありませんでしたから、まずはペットショップで修業です。予備校をやめ、県内でチェーン展開していた大手ペットショップに「無給でいいから勉強させほしい!」と頼みこみまして、夜は家庭教師やアルバイトをしながら、勉強させてもらいました。



‥‥‥●25年前というと、ペット美容という職種そのものが少なかったのでは?
   当時は、犬の美容が注目されていましたが、千葉にはまだ少なく、犬の飼育数も増えていましたので、将来的にはおもしろいビジネスになるのではと感じました。ただ、商売として始めるのであれば、ペット業界全体の知識が必要ですので、総合ペットショップで勉強させてもらったというわけです。
 修行して1年後に当時中央区のセントラルプラザの屋上に、お世話になっていたペットショップ所有の店があり、その店の一部を間借りさせてもらう形で猫専用の売り場として開業しました。
 これが「キティボックス」第1号店です。この売り場では、(猫の)生体の販売から用品、トリミングまで全般を扱っていました。店名は、最初の店が三畳ほどのスペースで、本当にマッチ箱(box)みたいな店だったことからそう付けました。



‥‥‥●その後、独立されて本町に店を構えられましたね。
  本町交差点から51号線に交わる交差点にあった3階建のビルの1階で、初めての路面店です。交差点にあったため、国道を利用するお客さまのほか、当時はまだ、千葉市内も栄えていましたから、個人商店や飲食店関係の人たちがお得意さまでしたね。店で飼ったり、マンションに住んでいる方も隠れて飼われていたようです。このころから、生活のパートナーとして猫を飼いたいという人が増えていたのかもしれません。
 この店から業態は本格的に犬猫の美容―トリミングが主体になりました。


‥‥‥●犬猫の美容というビジネスが千葉にはまだ少なかった時代ですね。
   不安はありましたが、とにかくお客さまをたくさん集めようと努力しました。その一つが送迎です。当時は、どこのペットショップでも、お客さまが店に足を運ぶのが普通でしたが、当店では、店の人間がお客さまのお宅に伺い、ペットをお預かりして店でシャンプーをしてお返しするというシステムにしました。それが大変喜ばれ、千葉市内だけでなく、成田、八街、成東、船橋、市川、鎌ヶ谷、市原まで送迎に行きました。
 また、当店では猫のシャンプーやトリミングもやっていたため、遠くから来られるお客さまもいらっしゃいました。猫は濡れたり、ドライヤーをかけたりすると嫌がって暴れたりするため、犬のグルーミングを扱う店の多くはやりたがらなかったからです。


‥‥‥●現在の場所に移転されたきっかけは?

 本町に店をオープンしてから10年ほどたったころ、ちょうどバブルがはじけて中央区の商店街が下火になってしまいました。人口も減り、栄町などの繁華街に買い物に来る人も少なくなりました。それで「もう少し安定した収入のある人たちが住む場所を」と考え、稲毛に注目しました。サラリーマン世帯が圧倒的に多かったからです。それで、稲毛区小仲台に移転しました。現在も続く店で、今年で12年になります。


‥‥‥●中央区の店と比べてどうですか。
  売上的には倍ぐらいになりましたね。スタッフの数も増えましたし、規模的にも本町の約2倍になりました。この店では美容室を主体に用品販売とペットホテル(犬・猫)もやっています。ただ、成体の販売はやめました。美容などのケアを主体にしていこうという考えでしたから、人間の美容室と同じ感覚で来てもらえる店をコンセプトとしました。経営の参考にしていたのも、犬の美容室ではなく“人間の美容室でどのようなサービスを提供しているのか”などを調べて、店の経営に反映させました。


‥‥‥●稲毛移転12年目で今回のカフェをオープンされたわけですが、狙いは?
 
きっかけとなったのは、冒頭に申し上げた私が講師を勤める専門学校とのかかわりです。猫カフェの構想は前からあったのですが、問題は猫です。一般の飼い猫では、人間を警戒してしまいます。学校には、私が立ち上げた猫専門の科があり、ケアや美容の実習で人に慣れている猫をたくさん飼育していたので、この猫たちなら(猫カフェは)できると、確信しました


‥‥‥●店の特徴は何ですか?
  
こうした猫カフェでは本来、飲食は難しいのですが、当店では軽食も店内で食べられるというのが売りです。それだけに保健所関係などクリアしなければならない課題もありましたが、飲食スペースと猫と触れ合うスペース(猫広場)を分けることで落ち着きました。結果的に、スペースを分けたのは正解でした。お客様からも「清潔で衛生的」と言っていただき、安心して食事をされています。


‥‥‥●お客さまの層は?
  当初は若い女性が多いのかなと思いましたが、ふたを開けてみたら、年代、性別ともにさまざまでした。男性のサラリーマンや主婦の方も多い。あるサラリーマンの方は、日曜日に1時間で入店され、その後延長し結局3時間も店で過ごして帰られました。しかも、火曜日にはスーツにネクタイ姿で来店されて、1時間ほど猫と一緒に過ごしておられました。


‥‥‥●オープンに際して苦労した点はどんなところですか。

   立地選びですね。猫カフェに向いている立地を探すのが大変でした。猫カフェに来るお客さまというのはどちらかというと、行動派ではない人たちに思えます。静かに時間を過ごしたいという人たちが多い。似た形態の店で、自分の飼い犬を店内に連れ込める「ドッグカフェ」がありますが、こういうところのお客さまというのは、自分が食事したいというのがひとつと、自分の犬を見せびらかしたいという面があると思います。


‥‥‥●今後の展望を聞かせてください。
  
高齢者に猫が癒しとしての役割を担う機会を作りたいと思っています。例えば、ケア施設と提携していくとか・・・。実際、介護関係のお客さまも多く、タイアップしませんかという話もあります。
   あとは、この猫カフェを2店舗3店舗と増やしていきたいと考えています。船橋など都心部の駅地下商店街などを狙っています。OLやサラリーマンの需要がありますから。疲れを癒しにくる人が多いようです。


‥‥‥●これからが楽しみですね。
   まず、来ていただいて店の名前を認知していただくことが、課題です。名前が広まれば、もっと多くのお客さまがいらっしゃるでしょうし、今後の店舗拡大も期待できるようになると思います。情報源ですか?今のところ、ホームページの情報が有効ですね。アクセス数も多い時で400〜500ぐらいあります。
   当店が他の店と違うのは、70匹の猫を交代でお客さまもてなすという点。したがって、来店するたびに違う猫と出会えるということです。これは当店の売りでもありますので、ぜひ遊びに来てみてください。

 
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